動物介護士が解説|老犬の震えの原因は?対処法や受診する目安も
老犬になった愛犬が震えていると、どこか痛いのかな?寒いのかな?と心配になる飼い主さんもいるでしょう。
老犬の震えには、問題のない震えと病気などが原因の震えがあり、しっかり見極めて適切に対処してあげることが大切です。
今回は、高齢の愛犬たちと暮らしていた動物介護士の私が、老犬の震えの原因や対処法について解説します。
動物病院を受診する目安もご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【執筆者保有資格】
動物介護士、ペットフーディスト、犬の管理栄養士 他 |
老犬の震えの原因5つ
老犬の震えは、生理的なものや精神的なもの、病気などが原因のものなどさまざまです。
最初に、老犬の震えの原因について詳しく知っておきましょう。
① 寒さによるもの
人間でも寒いと震えるように、老犬も寒さで震えることがあります。
筋肉を小刻みに動かして熱を生み出す「シバリング」と呼ばれる現象で、体温を維持するための生理的反応です。
特に老犬は体温調整機能の低下や基礎代謝の低下、筋肉量の減少などで体温が下がりやすく、寒さもより強く感じやすいことから震えがみられやすくなります。
② 筋力の低下によるもの
老犬になると筋力が低下するため、立ち上がったり座ったりするときに震えることがあります。
食事のときやトイレで踏ん張るときに震えてしまう老犬もいますが、これらは老化による自然なもので、筋肉が頑張ることで起こる反応です。
③ 不安や恐怖によるもの
人間でも不安や恐怖を感じて震えることがあるように、老犬も不安や恐怖で震えることがあります。
不安や恐怖は交感神経を活発にさせ、筋肉が緊張するために震えとなって現れます。
老犬になると、身体の変化への戸惑い、視力や聴力の衰えなどからこれまで以上に不安が強くなりがちです。
些細なことでも震えが出やすいといえるでしょう。
④ 痛みによるもの
老犬に限りませんが、犬はケガや病気による痛みによって震えることがあります。
関節炎による関節痛や胃腸炎による腹痛、がんの他、痛みを引き起こす原因はさまざまです。
⑤ 病気によるもの
震える原因のひとつに、病気の可能性があります。
これらは病気による痛みとは別で、病気による直接的なひとつの症状です。
■ 震えの症状が出る主な病気
|
震えを引き起こすような病気は早急に治療が必要なものが多いため、特に注意が必要です。
老犬のこんな震えは動物病院を受診して!
老犬の震えには、問題のない震えと、動物病院を受診すべき震えがあります。
【動物病院を受診すべき震え】
- 頻繁に震えるとき
- 震えと一緒に嘔吐や下痢が見られるとき
- 吐きたそうにしているが吐けないとき
- 意識がないとき
- 体温に異常があるとき
- ハァハァと呼吸が荒いとき
- 急に震えたとき など
不安や恐怖、寒さ、筋力の低下だと明らかにわかる場合は、しばらく様子をみても問題はありませんが、痛みによる震えや病気による震えが考えられる場合は早めに動物病院を受診することが大切です。
判断が難しい場合は自己判断せず、獣医師に相談することをおすすめします。
その際、震えている様子を動画に撮って動物病院に持参することで、獣医師の診断に役立ちます。
老犬が震えているときの対処法
老犬が震えているとき、痛みや病気などが疑われる場合は、動物病院を受診することが何よりの対処法です。
では、寒さや不安や恐怖などから震えているときには、どうしてあげたらいいのでしょうか。
寒さによる震えの対処法
老犬が寒さで震えている場合は、部屋の温度を上げたり、ペット用ホットカーペットや湯たんぽを活用する、服を着せるなどして暖めてあげましょう。
このとき、暑すぎると今度は逆に熱中症のリスクが高まるため、愛犬の様子を観察しながら調整してあげることが大切です。
また、人間用のホットカーペットや湯たんぽは低温やけどなどのリスクがあるため、使用には十分注意しましょう。
不安や恐怖による震えの対処法
老犬が不安や恐怖で震えている場合は、優しく声をかけながら寄り添ってあげましょう。
完全に不安や恐怖を完全に取り除くことは難しいですが、飼い主さんが寄り添ってあげることで和らげてあげることはできます。
筋力の低下による震えの対処法
老犬が筋力の低下で震えている場合は、ケガをしないように見守ったり、身体を支えてあげるなどのサポートを行いましょう。
震えが見られる老犬のケアのポイント
震えが見られる老犬は、普段の生活でのケアも重要です。
ここでは、飼い主さんができるケアについてご紹介します。
日頃から声をかけたりスキンシップをはかる
日頃から声をかけたりスキンシップをはかることで、愛犬の些細な変化に気づきやすくなります。
また、声かけやスキンシップは老犬に喜びや安心感を与えることにも繋がります。
そのため、不安や恐怖などによる震えの軽減にも役立つでしょう。
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足腰の負担を軽減してあげる
フローリングなどの滑りやすい床は足腰に負担がかかるため、コルクマットやタイルカーペットなどを敷いて足腰への負担を軽減してあげましょう。
また、床に直接ごはんの器を置いている場合では、食器台などを用意して無理のない姿勢で食べられるようにしてあげることも大切です。
滑りやすい床や前のめりになって食事をする姿勢は、常に前足に力を入れて踏ん張っている状態のため、老犬ではとても負担になります。
少しでも楽に過ごしてもらえるよう、生活環境を見直してみてくださいね。
老犬の食事については、以下の記事で詳しく解説しています⇩
専門家が解説|老犬の食事回数や食事内容は?食事量や注意点も |
筋力の維持をサポートしてあげる
老犬にとって筋力の維持はとても大切なことなので、積極的にサポートしてあげましょう。
■ 老犬の筋力を維持するためにしてあげられること
クッションやマットレスなど柔らかく弾力性のあるものの上を歩いてもらう お座りから3秒ほどかけてゆっくり立ってもらいことを数回繰り返す 適度にタンパク質が含まれているドッグフードを与える 加齢による筋肉量の減少をケアするサプリメントを活用する |
これらのサポートはどれも重要で、震えに限らず後々の老犬の足腰の健康を支えることにも関係してきます。
老犬は散歩を嫌がることも多くなりますが、上記でご紹介したような室内でできる筋トレもあるため、無理のない範囲で行ってみましょう。
老犬の散歩については、以下の記事もチェックしてみてください⇩
動物介護士が解説|老犬が散歩を嫌がるときはどうする?回数や時間の目安も |
室温や湿度に配慮してあげる
老犬は体温調整がうまくできなくなるため、室温や湿度を管理してあげることも大切です。
■ 老犬が過ごしやすい室温や湿度の目安
室温…25℃前後 |
室温や湿度を調整してあげることで、寒さによる震えや熱中症のリスクが軽減できます。
温湿度計は愛犬が過ごしている高さの位置に設置し、こまめにチェックすると良いでしょう。
また、夏場や冬場に老犬を残して家を留守にする場合も、エアコンは適温でつけっぱなしにしてあげましょう。
まとめ
老犬になると震えることも多くみられますが、何が原因で震えているのかを突き止めてあげることが大切です。
とはいえ、飼い主さんおひとりで震えの原因を突き止めることは難しいことも多々あります。
実際、私の高齢愛犬に震えがみられるようになった時、大腸炎で1週間ほど入院して退院した直後で、痛みからなのか不安からなのかの判断ができず、動画を持参して獣医師に相談しました。
結局、どちらも震えの原因となっており、心のケアと痛みのケアをすることになりました。
このように、老犬の震えの原因がひとつとは限らないため、震えがあるときは動画を撮影し、獣医師に相談することをおすすめします。
老犬は病気にかかりやすく、病気にかかれば進行が早かったり、悪化しやすいです。
愛犬に元気で長生きしてもらうためにも、早めに対処してあげてくださいね。
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執筆者:高田(動物介護士)