動物介護士が解説|老犬あるあるは問題行動?対処法や気をつけてあげたいこと
愛犬が老犬になると、それまでできていたことができなくなったり、性格が頑固になったりとさまざまな変化がみられるようになりますね。
老犬と暮らす飼い主さんの多くが経験することで、老犬あるあると言ってしまえばそれまでですが、問題行動の裏には病気が隠れていることもあり、注意が必要です。
今回は長年老犬たちと暮らしてきた私が、老犬あるあるな行動と注意すべき問題行動を解説します。
対処法や気をつけてあげたいこともご紹介していますので、老犬とのより充実した生活を送るための参考にしてください。
老犬あるある行動とは?
老犬と言っても老化のスピードや状態には個体差があり、必ずしもすべての老犬に同じ行動がみられるわけではありません。
しかし、以下のようなあるある行動は愛犬にあてはまるものも多いのではないでしょうか。
■ 老犬あるある行動 |
老化は避けられないもので心と体にさまざまな変化をもたらしますが、老化による自然な変化と、自然な変化に何らかの要因が加わり注意しなければいけない変化があります。
「老犬あるあるだから」と自己判断でそのままにしておくのは、愛犬のためにも飼い主さんのためにもなりません。
老犬あるあると思われがちな注意すべき問題行動について、しっかり理解しておくことが大切です。
次章からは、老犬あるある行動や問題行動の対処法や気をつけたいことを解説していきます。
老犬あるある行動の原因は?注意すべき問題行動も
そもそも老化とは、身体機能や脳機能、臓器機能が徐々に低下しはじめることです。
老化の原因は活性酸素による細胞膜の酸化や、タンパク質と糖の過剰摂取による細胞の糖化、免疫機能の低下による細胞の炎症、さまざまなホルモン分泌の低下などさまざまな要因があり、老化の進行を止めることはできません。
この老化によって、老犬にさまざまな変化が起こるため、「老犬あるある」と言われる行動がみられるようになります。
自然な老化による心と体の変化
自然な老化に見られるあるある行動は、視覚や聴覚、嗅覚の衰えにより呼ばれても反応しない、食欲が低下する、物にぶつかりやすくなるといったことが挙げられます。
足腰や内臓の機能も衰えてくるので、トイレの失敗をすることも増えるでしょう。
また、脳機能の低下によって、音がしても振り向かない、頑固になる、我慢ができなくなるということもあります。
さらに、老犬になるとさまざまな変化によって不安を感じやすくなるため、夜鳴きをしたりそれまで以上に甘える、飼い主さんの姿が見えないと吠えるなどの困った行動がみられることもあります。
注意しなければいけない問題行動
前述した老犬あるある行動のなかでも、以下の行動がある場合は注意すべきでしょう。
- 攻撃的になった
- 破壊行動が見られるようになった
- 動きたがらなくなった
- トイレの回数が増えた
- 興奮しやすい
- 夜に寝ない
- 夜鳴きをする
- 徘徊する
もちろん、昼夜逆転などで夜に寝なかったり徘徊することもありますが、これらの問題行動は病気が原因となっている場合もあります。
■ 老犬の問題行動で考えられる病気 |
老犬になると、老化に伴いさまざまな病気のリスクが高くなります。
いずれの病気も適切な治療が必要になるため、「老犬あるある行動だから」と自己判断せずにかかりつけの獣医師にご相談ください。
夜に寝ない、徘徊に関しての原因や対処法は以下の記事を参考にしてみてください。
動物介護士が解説|老犬が夜寝ないけど大丈夫?原因と対処法 |
動物介護士が解説|老犬が徘徊する理由は?考えられる原因や対策法 |
老犬あるある行動や問題行動への対処法
老化を止めることはできませんが、老犬のあるある行動や問題行動に対して適切に対処してあげることは、飼い主さんの悩みを軽減することにもつながります。
ここでは、対処法について見ていきましょう。
まずは動物病院を受診する
老犬に何らかの変化が見られるようになったら、まずは動物病院を受診しましょう。
変化が自然な老化によるものなのか、病気などが原因で起きているものかを飼い主さんが判断することは非常に難しいです。
また、老化が進むにつれて動物病院のお世話になる頻度も増えていきます。
獣医師に愛犬の状態や変化をより正しく把握してもらえるというメリットだけでなく、相談しやすい関係づくりにも役立つため、かかりつけの動物病院をつくっておきましょう。
愛犬のこだわりを理解する
老犬になると脳の機能も低下していきますが、それによって前頭葉が上手く働かなくなるため、頑固になったり我慢ができないといったことが起こります。
例えば、老犬が「ご飯を食べない」という行動ひとつをみても、
- 今は食べる気分ではない
- 食べたいものではない
- 食感が気に入らない
- 匂いが気に入らない
- 器が気に入らない
- 量が気に入らない
などのように、独自のこだわりが強くなることで食べないということもあります。
もちろん、老化による嗅覚や内臓機能の衰え、体調不良などで食べないこともありますが、「老犬だから食べなくても仕方がない」と簡単に片づけられるものではないのです。
実際に私の高齢の愛犬は、肉の部位や肉の種類、焼いたり煮るなどの調理法にこだわりがあり、それが日によって変わっていました。
また、動物病院で保定されるときにも、前足は絶対に診察台の上についていないと我慢できないなどのこだわりを見せるなど、年を重ねるごとにこだわりは強くなりました。
このように老犬はさまざまなことに対してこだわりが出てくるため、愛犬のこだわりを理解してあげることが大切です。
優しく声掛けをしたりスキンシップをとる
老犬はさまざまな機能の衰えによって、ストレスや不安を感じやすくなります。
■ 老犬が不安を感じやすくなる例 |
そのため、飼い主さんのそばから離れられなくなったり、姿が見えないと無駄吠えや破壊行動などの問題行動を起こしたり、いきなり触られることで思わず攻撃的になってしまうということもあります。
安心させてあげることが何よりも大切なので、優しく声掛けしてから触る、毎晩しっかりとスキンシップの時間をとるなど、老犬が安心できるように配慮してあげましょう。
日中にお散歩に連れ出してあげる
老犬になると自律神経が乱れやすくなるため、体内時計の調整が難しくなってきます。
日中、太陽の光が出ている時にお散歩に連れ出してあげることで、お散歩による脳への良い刺激、太陽の光によるセロトニンの分泌促進など嬉しい効果を得ることができるでしょう。
セロトニンは、精神の安定や体内時計の調整、睡眠リズムの調整などさまざまな働きをしてくれるホルモン物質です。
歩くことが難しい場合は、ペットカートや補助ハーネスの利用、抱っこなどでも問題ありません。
愛犬の体調が心配なときには、カーテンを開けた窓辺やベランダで15〜30分程度の日光浴でも大丈夫です。
複数の場所にトイレを設置してあげる
老犬のトイレの失敗は「あるある」なことです。
筋力の衰え、関節機能の衰え、膀胱機能の衰え、認知機能の衰えなど、トイレを失敗する原因はさまざまありますが、まずは複数の場所にトイレを設置してあげるといいでしょう。
老犬は頑固になったりこだわりが出てきますが、紙おむつの中では絶対にトイレをしないというこだわりを持つ老犬もいます。
常に尿が出ているような場合や頻繁に漏らしてしまう場合は紙おむつを検討したほうが良いですが、そうでない場合はできる限りトイレでさせてあげましょう。
老犬の変化で気をつけてあげたいこと
老犬にあるある行動が見られるようになったら、今まで以上に気をつけてあげることが増えてきます。
些細な変化を見逃さないことはもちろん、環境面や栄養面にも配慮してあげましょう。
生活環境に配慮する
老犬が快適に過ごせるように、生活環境を整えてあげましょう。
室温や湿度の調整はもちろん、寝心地の良いベッドの用意、滑りにくい床材にしたり段差をなくすなど、過ごしやすい環境に整えてあげることが大切です。
特に夏場にお留守番してもらうときは必ずエアコンをつけっぱなしにするなど、暑さ寒さの対策をしっかり行ってくださいね。
老犬に必要な栄養を補ってあげる
老化の原因は、活性酸素による細胞の酸化が大きいと考えられています。
老犬になると増えすぎた活性酸素を処理する働きが低下するため、活性酸素が体内に溜まりやすくなり、より老化を加速させてしまうことに繋がります。
そのため、酸化から体を守ってくれる栄養素を積極的に取り入れてあげることが大切です。
特に脳は酸化ストレスを受けやすく、老犬は栄養を消化・吸収する働きの低下などを考えると、効率的に栄養を摂取するにはサプリメントのほうが手軽で良いでしょう。
■ 老犬におすすめの成分 ・ポリフェノール(アントシアニン、グネチンCなど) ・神経栄養因子様化合物(バングレン) ・カロテノイド(アスタキサンチン、ルテイン、β‐カロテンなど) ・DHA ・ビタミンA、C、E など |
動物病院でも販売されている製品だと、より安心して愛犬に与えることができますね。
ほかにも、老化によってこれまで体内でつくられていた栄養素や成分の産生量が減ってしまう、乳酸菌やグルコサミン、コンドロイチン、ビタミン類なども補ってあげたい成分です。
まとめ
老犬のあるある行動は問題行動にとらえられがちですが、その多くが老化による自然な行動で、受け入れて上手に付き合っていくことが大切です。
老化はどんどん進行し、場合によっては介助や介護が必要になることもあるでしょう。
愛犬と一緒に居られる時間は限られており、永遠に続くものではありません。
できる限り寄り添い、愛犬が快適に過ごせるように考えてあげましょう。
老犬あるある行動や問題行動で悩む場合は、おひとりで抱え込まずに獣医師や看護師、介護士などの専門家に相談し、一緒に解決方法を探してくださいね。
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執筆者:高田(動物介護士)