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専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ

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専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ

愛犬がシニアになると、ドッグフードもより良いものを選んであげたいと思いますね。

しかし、老犬用ドッグフードはさまざまな種類が販売されていたり、情報もあふれているため、選び方が分からないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、動物介護士やペットフーディストであり実際にシニア犬4匹と暮らしていた私が、老犬のドッグフードの選び方をご紹介します。

愛犬のドッグフード選びの参考にしてください。

 【保有資格】
動物介護士 / ペットフード安全管理者 / ペットフーディスト 他

そもそも老犬用ドッグフードとは?シニア期の健康維持に配慮されたフード

「老犬用」や「シニア犬用」、「高齢犬用」と書かれているドッグフードが販売されているように、老犬用のドッグフードは加齢による身体の変化に合わせた栄養バランスで作られています。

食いつきや食べやすさ、消化のしやすさに配慮されているのはもちろん、老犬になると抱えやすい悩みをサポートできるようにサポート成分が配合されていることも多いです。

成犬用でも健康に配慮されているドッグフードはあり、老犬に与えることもできますが、見極めるためのポイントを覚えるまでは老犬用ドッグフードから選んだほうが安心でしょう。

ここでは、犬のシニア期の目安や老化で起こる変化について、もう少し詳しく解説します。

 

犬のシニア期の目安

犬がシニア期に入ると、身体の中でさまざまな変化が起こり始めます。

 ■ 犬の一般的なシニア期の目安
【シニア期(老犬)】
小型犬…7歳頃~
中型犬…7歳頃~
大型犬…5歳頃~

【ハイシニア期(高齢犬)】
小型犬…11歳頃~
中型犬…11歳頃~
大型犬…8歳頃~

もちろん、老化が進むスピードは個体差があるので、7歳になったからすぐに老犬用フードに変えなければいけないということではありません。

老犬用フードに切り替える時期は、かかりつけの獣医師に相談しながら決めることをおすすめします。

 

老犬になると起こる変化

老犬になると、緩やかに老化が始まります。

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嗅覚や代謝、内臓や消化器官などをはじめとする身体のさまざまな機能の衰えや、脳の機能の低下も進むので、年を取るにつれてどんどん頑固になったりこだわりが強くなる様子もみられるようになるでしょう。

ほかにも、体力や筋力の低下、体内で合成できる成分の生成量の低下、活性酸素の排除機能の低下など、注意してあげたい変化が体内では起こっています。

 ■ 老犬になると食事で起こりやすいこと
・お腹が弱くなる
・太りやすくなる
・食欲が低下する
・食べ飽きしやすくなる
・消化に負担がかかりやすくなる
・栄養を吸収しづらくなる
・歯が悪くて食べにくくなってくる
・一度に食べられる量が減ってくる

体の中の変化は目には見えないため気づきにくいですが、これらの変化に配慮されているのが老犬用ドッグフードです。

次章から、老犬のためのドッグフードを選ぶポイントをみていきましょう。

 

老犬のドッグフードを選ぶポイント

では、シニアになった愛犬のドッグフードはどう選んだら良いのでしょうか。

老犬のドッグフードの基本的な選び方は以下の6つです。

 ■ 老犬のドッグフードを選ぶポイント
  1. 良質なタンパク質と良質な脂質が含まれているもの
  2. タンパク質量が低すぎないもの
  3. 灰分(ミネラル)が高すぎないもの
  4. 食べやすい工夫がされているもの
  5. できればサポート成分が配合されているもの
  6. 老犬の健康に不要な添加物が含まれていないもの

ここから詳しく解説します。

 

①良質なタンパク質と良質な脂質が含まれているもの

老犬になると内臓の働きが徐々に衰え、消化・吸収能力が低下するため成犬以上に良質なタンパク質や脂質が大切になります。

これは、健康な老犬も持病のある老犬も同じことです。

良質なタンパク質や脂質が含まれているかを確認する方法は、公式HP等に食材の選定基準や品質管理方法、加工方法などの透明性があるかどうかを見ると良いでしょう。

 

②タンパク質量が低すぎないもの

普通にはタンパク質量が少ないものが良いと思う飼い主さんも多いですが、タンパク質量は低すぎないドッグフードを選びましょう。

タンパク質はエネルギー源としてだけでなく、身体のあらゆる組織を作る材料や維持をするために重要なものです。

タンパク質量が低すぎれば筋肉の維持もしにくくなりますし、高すぎると肝臓や腎臓など身体の負担となる老犬もいます。

目安としては、成犬時に与えていたドッグフードより数%高い、もしくは同程度のものが良いでしょう。

栄養成分表示に明確な基準は定められていませんが、一般的なドッグフードの数値基準の目安は以下の通りです。

目安 タンパク質数値
高い 27%以上
高め 25~27%
普通 22~25%
低め 20~22%
低い 20%以下

ただし、ウェットフードやフレッシュフードなどはドライフードに比べて消化吸収率が良いため、獣医師から栄養素の制限の指示がない場合は数値を気にしすぎる必要はありません。

③灰分(ミネラル)が高すぎないもの

老犬になると、栄養の吸収と不要な成分の排出のバランスが取りづらくなるため、灰分(ミネラル)の数値が高すぎないドッグフードがおすすめです。

ミネラルは重要な栄養素ですが、過剰に摂取すると老犬では吸収しきれずに身体に負担がかかりやすくなります。

腎臓や心臓にかかる負担を少しでも軽減させてあげるためにも、灰分は控えめのものを選んであげるといいでしょう。

ただし、低すぎると栄養不足になったり、味が薄くなるので食欲が落ちるという難点があるので、適度に配合されているものを選ぶのがポイントです。

目安としては、9%を超えてくると高めの数値になるため、7%前後のものが良いでしょう。

 

④食べやすい工夫がされているもの

老犬になると、嗅覚の衰えや口の中のトラブルから食欲が低下しやすくなるため、食べやすい工夫がされているドッグフードを選びましょう。

 ■ 食べやすい工夫の例
・香りが強い
・レバーなどの内臓肉が使用されている
・小粒
・粒が柔らかめ

近年は、セミモイストフードやウェットフード、フレッシュフード、フリーズドライフードなどドライフード以外にもさまざまなドッグフードが販売されています。

ドライフードよりも犬の嗜好性が高い傾向にあるので、ドライフードを食べない老犬ではそういったドッグフードを選んであげると良いでしょう。

 

⑤できればサポート成分が配合されているもの

老犬になると、お腹や関節などを始めとしたさまざまな身体のトラブルを抱えやすくなります。

そのため、できればグルコサミンやコンドロイチン、乳酸菌などのサポート成分が配合されているドッグフードを選んであげると良いでしょう。

ただ、老化が進むにつれて体内で合成できる成分の生成量が減るため、ドッグフードだけでは補いきれない成分も出てきます。

また、良いドッグフードと思ったものにサポート成分が配合されていないこともあるでしょう。

その場合は、サプリメントなどを上手に活用してください。

老犬が積極的に摂取したい成分は以下の通りです。

 ■ 老犬が積極的に摂取したい成分

・腸内ケア成分
…乳酸菌、フェカリス菌、ビフィズス菌などのプロバイオティクス

・関節ケア成分
…グルコサミン、コンドロイチン、MSM(メチルサルフォニルメタン)、緑イ貝など

・脳ケア成分
…DHA、ポリフェノール(グネチンC、アントシアニン)、神経栄養因子様化合物(バングレン)、カロテノイド(アスタキサンチン、ルテイン、β-カロテン)など

・ビタミン類
…ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなど

ドッグフードに含まれるサポート成分は僅かであることも多いので、サポート成分が配合されているものを選ぶときはその配合量にも注目してみましょう。

 

⑥老犬の健康に不要な添加物が含まれていないもの

ドッグフードの添加物のほとんどは必要があって使用されていますが、なかには老犬の健康に直接関係しない添加物もあります。

 ■ 老犬の健康に不要な添加物
・甘味料(スクロース、グリシリジン・アンモニエートなど)
・香料
・着色料(赤色102号、亜硝酸Naなど)

甘味料や香料は、原材料の品質が良ければ必要のないものです。

また、着色料は飼い主さんの見た目を重視するだけに使用されており、発がん性が懸念されているものや人間では使用が禁止されているものもあります。

添加物は過剰に摂取したり長期にわたって摂取することで身体に負担がかかる可能性もあるため、できれば老犬の健康に不要な添加物は避けておいたほうが安心です。

 

場合によっては老犬に子犬用ドッグフードやキャットフードを与えることもできる

専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ

老犬にはシニア期に配慮されたドッグフードを与えることが大切ですが、どうしても栄養を摂って欲しいときなどは獣医師に相談のうえ、子犬用のドッグフードや猫用の療法食を与えることもできます。

実際、私の愛犬の一匹は腎臓病で食欲にムラがあり、何も食べなくなってしまったときに猫用の療法食を一時的に与えました。

さらに、もう一匹は17歳となって量が食べられなくなってしまったことから、子犬用のドッグフードを与えていたこともあります。

もちろん、どちらの場合もかかりつけの獣医師に確認したうえで与えていますが、基本的には子犬用も猫用も犬に必要な栄養素は含まれているので、そういう選択肢もあることを知っておくと良いでしょう。

ただし、キャットフードは犬用に比べてタンパク質量やナトリウムが多く作られているため、あくまでも一時的な手段としてで常用することはおすすめできません。

※個人で判断せずに、獣医師の指示に従いましょう

 

老犬のドッグフードの与え方も知っておこう

老犬にとって、ドッグフードの与え方も重要なポイントです。

愛犬に負担なくドッグフードを食べてもらうためにも、ドッグフードの与え方をもう一度確認してみましょう。

新しいドッグフードへの切り替え方

老犬に新しいドッグフードを与えるときは、それまで与えていたフードに10%程度ずつ新しいフードを混ぜていき、2週間ほどかけて徐々に切り替えましょう。

いきなり新しいフードをまるまる与えてしまうと、お腹がびっくりして下痢や嘔吐を起こしてしまう原因になります。

ゆっくりお腹に慣れさせるためにも、時間をかけて切り替えることが大切です。

また、時間をかけることで警戒心の強い老犬でも新しいフードに警戒しにくくなり、食べてくれやすくなるでしょう。

この際、切り替え途中で軟便や下痢がみられる場合は、一旦元のドッグフードにすべて戻して、便の調子が安定してからもう一度新しいフードを5%にして切り替えを行ってください。

なお、量を減らしてもまた軟便や下痢がみられる場合は、そのドッグフードが愛犬の体質に合っていないことが考えられるため、ほかのフードを検討したほうが良いかもしれません。

 

食事の回数

老犬は一度に食べられる量が減ってしまったり、消化に負担がかかりやすくなります。
食事の回数を3〜4回に増やして、一度に与える量を減らしてあげることをおすすめします。

愛犬の状態にもよりますが、高齢犬では4〜5回にしてあげると良いでしょう。

ドッグフードの賞味期限

ドッグフードに記載されている賞味期限は、未開封時のものです。

ドライフードは開封後1か月以内、ウェットフードは開封後2〜3日以内に食べ切るようにしましょう。

特にドライフードは、フードに含まれる脂質が空気中の酸素と反応して化学反応を起こし、フードを酸化させます。

ドッグフードは開封後から酸化がはじまりますが、酸化が進むと香りや風味が落ちるだけでなく、栄養素を破壊して必要な栄養を補えなくなってしまったり、有害物質を生成して健康に悪影響を与えるなどさまざまなリスクがあるので早めに食べ切ることが大切です。(※)

また、ドライフードを冷蔵庫で保管することは、出し入れの際に結露が生じてカビが生えやすくなってしまうことからおすすめできません。

なお、光には酸化を促進させてしまう作用があるため、ドライフードは密閉して光の当たらない冷暗所で保管するようにしましょう。

※参考:ペット栄養学会誌「市販ドッグフードの脂質に対するα-トコフェロールの抗酸化効果」

 

ドライフードのふやかし方

老犬では、歯が悪いなどの理由からドライフードをふやかして与えることも出てくるでしょう。

また、ドライフードの食いつきが悪いときにぬるま湯でふやかしてあげると、香りが立ったり食べやすくなることで食べてくれることがあります。

このとき、熱湯ではなく40度くらいのぬるま湯でふやかしてあげましょう。
お湯が熱すぎると、せっかくの栄養素が壊れてしまいます。

また電子レンジを使用する際も、熱くなり過ぎないように20秒程度にするなど様子をみながら行うことをおすすめします。

なお、もし汁が残っていても、汁には栄養素が流れ出ているので捨てずに一緒に与えましょう。

ただし、ふやかすお湯の量が多いと、それだけでお腹がいっぱいになってしまうことがあるため、ふやかすお湯の量は愛犬の状態をみながら判断してあげてくださいね。

まとめ

専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ

老犬にとって食事はとても重要で、ドッグフードの選び方や与え方、賞味期限など、多くのことに配慮してあげる必要があります。

さらに、食べ飽きしたり食に対してこだわりが強くなることがあるため、ひとつのドッグフードだけでなくさまざまなドッグフードが必要になることもあるでしょう。

年齢に関係なく、犬にとって食事は楽しみのひとつです。

愛犬が美味しく食べてくれるドッグフードが見つかりますように。

※ドッグフードの切り替えや内容、量については、かかりつけの動物病院に相談のうえ、慎重に検討することが大切です。

 

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執筆者:高田(動物介護士)