動物介護士が解説|老犬がトイレを失敗するようになったら要注意!対処法も
それまできちんとトイレで排泄できていた愛犬が、老犬になってトイレを失敗するようになった時は注意が必要です。
トイレの失敗にはさまざまな原因があり、「老犬だから仕方がない」では済まないこともあります。
今回は、高齢の愛犬たちと暮らしてきた動物介護士の私が、老犬がトイレを失敗する理由や対処法を解説します。
■ 保有資格 動物介護士 / トリマーペットスタイリスト 他 |
老犬のトイレの失敗が増える理由は?老化や病気など原因はさまざま
老犬がトイレを失敗したりトイレの失敗が増える理由には、さまざまな原因があります。
原因1. 老化
老犬になると、老化によって身体のさまざまな機能が衰えるため、トイレを失敗しやすくなるのは自然なことです。
■ 老化によって見られるトイレの失敗 ・トイレまで間に合わない |
老犬はどうしても、排尿を我慢する能力や膀胱で尿を貯めておく能力などが低下したり、体力や筋力の衰えから、トイレまで間に合わないことがあります。
また、認識能のずれや認知機の低下によって、トイレトレーに乗っているつもりで排泄してしまうこともあるでしょう。
原因2. ストレス
老犬は若い頃に比べてストレスや不安を感じやすくなるため、ストレスによってトイレを失敗してしまうこともあります。
ストレスを感じる理由は老犬によって異なるほか、原因を特定しにくいという点はありますが、特定できればストレスを軽減してあげられるでしょう。
原因3. 病気
老犬が老化によってトイレの失敗をするのは仕方がないことですが、気を付けなければいけないのは病気が原因の場合です。
老犬では無治療では寿命に影響する病気も多く、早期発見・早期治療が重要です。
老犬がトイレを失敗するようになったときに考えられる主な病気は、以下のようなものがあります。
■ 考えられる主な病気 分離不安症 / 膀胱炎 / 尿石症 / 前立腺肥大 / 腫瘍 / ホルモン反応性尿失禁/ 腎臓病 / 糖尿病 / 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群) / 認知症 / 椎間板ヘルニア など |
老犬のトイレの失敗は病気のサインであることも珍しくはないため、トイレの失敗が続いたり、失敗が増える場合には早めに獣医師にご相談ください。
認知症の症状については以下の記事も参考にしてみてくださいね⇩
動物介護士が解説|犬の認知症の症状は?予防や対策方法 |
老犬のトイレの回数は?普段の回数を把握しておこう
一般的には、老犬のトイレの回数は5〜6回ですが、個体差もあり普段の回数を把握しておくことが大切です。
老化によってトイレの我慢がしづらくなるなど、老犬はトイレの回数も増える傾向にありますが、普段の回数よりも明らかに多い、もしくは少ない場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
老犬がトイレを失敗するようになっただけでなく、回数が変化している場合は早めに動物病院を受診することをおすすめします。
併せて、普段の飲水量も確認するようにしておくといいでしょう。
夏場は飲水量が増え、トイレの回数も多くなる傾向にあります。
しかし、普段から飲水量が多い場合は病気の可能性があり、病気のなかには早期の治療が必要なものもあるので、トイレの失敗、トイレの回数、飲水量の3つは重要なサインです。
飲水量の簡単な確認方法は、計量カップで計った水を器に入れ、水を交換するときに軽量カップに入れてもう一度計ることで、どれくらい飲んだかを把握することができます。
老犬がトイレを失敗したときの注意点は?絶対に叱らない
老犬がトイレを失敗する原因はさまざまです。
トイレに失敗しても、絶対に叱ってはいけません。
叱ってしまうと、「排泄したことを叱られた」と勘違いして排泄を我慢するようになり、膀胱炎や尿路結石などの病気のリスクを高めてしまいます。
また飼い主さんを怖がって隠れて排泄するようになったり、ますます失敗するなどの悪循環に陥ってしまうでしょう。
老犬がトイレを失敗するのは本意ではなく、自然なことと受け入れてあげることが大切です。
排泄をしなくなる方が問題なので、失敗しても「おしっこできて偉いね〜」と優しく声をかけてあげましょう。
老犬がトイレを失敗するときの対処法
老犬のトイレの失敗の原因が病気の場合は動物病院での治療が第一ですが、自宅でできる対処法を実体験も交えてご紹介します。
老化によるトイレの失敗の場合でも、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
①トイレの場所やトイレトレーの形などの環境を見直す
老犬がトイレに行く途中に段差があったり、トイレトレーに乗るのに大きく足を上げる必要はないでしょうか。
もしも当てはまる場合は、トイレの場所やトイレトレーの形などの環境を見直してみましょう。
段差がある場合は段差をなくす工夫をし、トイレトレーはできるだけフラットなものにしてあげると入りやすくなり失敗しにくくなるでしょう。
また、普段過ごしている場所からトイレまでの距離も確認し、遠すぎる場合は行きやすい場所に変えてあげてもいいでしょう。
ただ、トイレを場所で覚えている場合では、トイレを移動させることで元のトイレの場所にトイレがあると思ってそこで排泄してしまうこともあります。
その場合はトイレの場所を増やしてあげることで解決する場合があります。
次章で詳しく解説します。
②トイレの場所を増やす
老犬のトイレの失敗は、そこにトイレがないから失敗なのであり、トイレの数を増やしてあげることで失敗を減らすことができます。
実際、認知症になった18歳の愛犬は急にトイレの失敗が増えました。
それからというもの、あちこちで排泄してしまうように…。
しかしよく観察していると、排泄する場所がある程度同じだったため、いつものトイレのほかに部屋の真ん中、テレビの前、寝室の出入り口と数か所にペットシーツ(トイレシート)を設置すると、そのどこかでトイレをしてくれていました。
あちこちにトイレを設置することに抵抗があるかもしれませんが、最近は一見トイレ用に見えない布製の洗えるペットシーツなどもたくさん販売されています。
そういったものを利用してもいいでしょう。
※実際に私がカート用に使用している洗えるペットシーツ
ただし、柄付きや色付きのペットシーツは尿の色が分かりにくく、尿の色による健康チェックがしにくいです。
できれば老犬は白色のペットシーツのほうがおすすめなので、敷く場所などによって使い分けるといいかもしれません。
③しつけ用ペットシーツを利用する
犬は縄張り意識があることから、ニオイがあるところに排泄する習性があります。
そのため、特殊なニオイが付いたしつけ用ペットシーツや尿のニオイがついたペットシーツを置くと、そこでトイレをしてくれやすくなるでしょう。
実際に高齢の愛犬も同居犬の尿のニオイを嗅ぐと排泄したくなるようで、トイレに同居犬の尿がついたペットシーツを置いてあげるとそこで排泄していました。
はみ出す・失敗もありましたし、老犬それぞれ個体差もありますが、トイレの失敗を少しでも軽減することに役立てられるといえます。
④場合によっては犬用おむつを使用する
無意識に排泄してしまう場合や留守中見ていられない場合は、犬用おむつを使用することも検討しましょう。
ただし、排泄物が長時間皮膚に触れることでかぶれたり皮膚炎を起こすことがあるため、おむつを活用する場合は、こまめな確認と交換が必要です。
また避妊手術をした女の子の犬では、老犬になってから尿漏れを起こすこともあります。
排泄後にあまりにもポタポタが止まらない、量が多いという場合はおむつを使用しますが、この場合はかかりつけの獣医師と相談して履かせるタイミングを決めましょう。
愛犬の場合では、排泄後に毎回拭くことができるということもあり、かかりつけの獣医師からおむつは使用しないでやっていこうと言われました。
犬用おむつにもメリットやデメリットがあるため、上手に活用するといいでしょう。
⑤サプリメントを取り入れる
トイレの場所を認識してもらうためにも、認知機能の健康を維持してあげましょう。
老犬になると体内の活性酸素が増えすぎてしまい、脳の細胞にも酸化ストレスによる影響を与えます。
活性酸素は体内でさまざまな役割を担う重要なもので、体内には酸化から体を守る防御機能がありますが、加齢によって防御機能がうまく働かなくなってきます。
そのため、酸化から体を守る成分が配合されたサプリメントでサポートしてあげることがおすすめです。
■ 酸化から体を守る成分 ・ポリフェノール(アントシアニン、グネチンCなど) ・カロテノイド(アスタキサンチン、ルテイン、β‐カロテンなど) ・DHA ・ビタミンA、C、E など |
また、老化によって衰えがちな脳細胞や神経の健康維持に良い成分もおすすめです。
特に脳の神経幹細胞に働きかけ、神経細胞の新生(分化)を促すバングレンという成分には、新規細胞の成長や維持に深く関与すると考えられている神経栄養因子のような働きをすることが研究結果や試験で明らかになっています。
実際、トイレを失敗していた愛犬にグネチンCとバングレンが配合されたサプリメントを継続して与えていたら、体質に合っていたようで良い状態で維持できていました。
愛犬の体質にあったサプリメントを見つけることができれば、トイレの失敗のサポートにも役立ってくれるでしょう。
サプリメントにはさまざまなものが販売されていますが、なかには成分含有量がわずかなものや有用性が心配なものもあるため、動物病院で販売されている製品を選ぶことをおすすめします。
まとめ
老犬がトイレを失敗するようになるのは、ある意味自然な流れで仕方がないことです。
しかし、いくつになってもトイレを失敗しない老犬がいるように、「老化」と決めつけてしまうことは病気を見逃してしまう可能性があるため注意しましょう。
実際、これまで4頭の老犬と暮らしてきましたが、認知症になってトイレの失敗をするようになるまでは、避妊手術の影響による尿漏れを除き失敗することはほとんどありませんでした。
そして、失敗したときは何らかの病気が見つかっています。
もちろん、病気や年齢、状態など状況はみんな違うので単純に老化によるトイレの失敗もありますが、病気の可能性もあるため一度動物病院を受診してみましょう。
また、老犬がトイレを失敗しても自然なことと受け入れ、できるサポートをしてあげてくださいね。
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執筆者:高田(動物介護士)