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シニア犬のお手入れガイド│負担を減らすやさしいケア

目次

愛犬が高齢期に入ると、これまで当たり前のようにできていたお手入れも、少しずつ難しくなっていきます。

若い頃と同じように行ってしまうと、皮膚や関節に負担をかけてしまったり、ストレスで嫌がるようになってしまうことも少なくありません。

シニア犬には「短時間」「ソフト」「安心できる」お手入れが基本です。

この記事では、老犬に優しいお手入れの理由・具体的なステップ・負担を減らす工夫をまとめました。

さらに、「動物病院と連携してケアを行う大切さ」についても触れていきます。

 ■ 執筆者
トライザ株式会社 土田(動物看護師、トリマー)

 

なぜ老犬には優しいケアが必要?

シニア犬になると、外見や行動だけでなく、体の内部にもさまざまな変化が現れます。

皮膚の衰え

若い頃に比べて皮膚が薄くなったり、バリア機能が低下しがちで、乾燥や炎症などを起こしやすくなります。

少しの摩擦でも赤みが出たり、かゆみを伴うなど皮膚トラブルが起こりやすいため、ブラッシングやシャンプーではやさしいタッチが欠かせません。
また、使用するシャンプー剤も皮膚に優しく愛犬に合ったものを選んだり、ブラシやドライヤーなどの用品を正しく扱うことも大切です。

 

関節や筋力の衰え

加齢とともに関節の柔軟性が失われ、関節炎や筋力低下によって立ち上がりや体勢維持が難しくなっていきます。

長時間立ったままシャンプーをさせると、転倒や疲労の原因になりかねません。

 

感覚機能の衰え

視力や聴力が低下し、突然の音や刺激に敏感になりやすくなります。
お手入れ中に驚かせると、ケガや恐怖心につながり、以後のお手入れを嫌がるきっかけになってしまうこともあります。

こうした理由から、老犬には若い頃よりもさらに丁寧でやさしいケアが求められます。

 

お手入れの具体的ステップ

①愛犬の皮膚の状態を知りましょう

まずは、皮膚に赤みや湿疹、ケガなどのトラブルがないかを確認します。

改めて確認しようとすると犬が不安を感じることもあるため、リラックスした状態で撫でているときに毛をかき分けて皮膚を観察してみるなど、日々のコミュケーションの延長線上でチェックすることがおすすめです。

うまく確認できない場合やなにかトラブルを発見した場合は、まず動物病院で診察を受けましょう。

 

②ブラッシング

犬のブラッシングは被毛のためだけでなく、皮膚のためにもとても大切です。

また適度な刺激で血行をよくすることもできるため、老犬には最適なケアのひとつです。
ブラシをかけながら、細かい箇所の怪我や湿疹、かぶれなどが見当たらないかも確認しましょう。
※皮膚トラブルがある箇所には、ブラッシングは控えましょう

 

使用するブラシは、毛質などよって適したものがあります。
犬の状態によって変わりますが、代表的なものは以下のとおりです⇩

●シングルコート犬種(抜け毛の量が少なく、カットが必要な犬種)
プードル、マルチーズ、シュナウザー、ヨークシャーテリアなど

➡ ピンブラシを使って毛玉の有無を確認しましょう。
毛玉があれば、手で細かく割いてからスリッカーでほぐしていきます。
仕上げにコームやピンブラシで毛流れを整えます。

 

●ダブルコート犬種(抜け毛の量が多く、カットが不要な犬種)
柴犬、チワワ、ダックスフンド、ポメラニアン、パグ、フレンチブルドッグ、ラブラドールレトリバーなど
➡ スリッカーを使い全身の抜け毛を取り除きます。
スリッカーをかけた後は、コームで引っ掛かりが無いかを確認します。
引っかかった箇所は、毛玉や抜け毛が多い箇所なので、再度スリッカーをかけます。
仕上げに獣毛ブラシで艶をだしましょう。

※スリッカーは直接皮膚にあたらないように注意しましょう

 

あまりに毛玉が多い場合は、バリカンなどでカットが必要な場合も。
無理に毛玉を引っ張ったり、自宅でハサミでカットしないようにしましょう。

犬の皮膚は伸びるため、知らずに皮膚を傷つけてしまうことがあるため、動物病院やトリミングサロンにご相談ください。

 

③シャンプー

月1回程度を目安に行います。
※皮膚トラブルがある場合は動物病院の指示に従いましょう

お湯はぬるめ(36〜37℃程度)に設定し、皮膚の負担を少なくします。

長時間立つのが難しい場合は、洗面台やバスチェアを使って体勢を工夫したり、2人体制(1人は支える、1人は洗う)で行うと安心です。

体力が落ちている子には「水のいらないシャンプー」や「拭き取りシート」もおすすめです。

 

④ドライヤー

洗った後は必ずしっかり乾かし、体を冷やさないようにしましょう。

ドライヤー前にしっかりとタオルドライを行うことでドライヤーの時間を短縮することができます。
ドライヤーはなるべく温度を低くし、皮膚に近づけすぎないようにします。

シニア犬の皮膚は特に乾燥しやすいため、手早くしっかりと乾かすことを意識しましょう。

 

⑤仕上げのブラッシング

可能であれば、仕上げにブラッシングを行い、シャンプーやドライヤーで絡まってしまった毛を整えましょう。

こうすることで毛玉の発生を防ぎ、乾き具合もチェックすることができます。

 

爪切りのコツと安全対策

シニア犬は運動量が減るため、特に親指部分にあたる狼爪(ろうそう)や、前足の爪が伸びやすくなります。

伸びすぎると歩行の妨げになり、関節や腰に余計な負担がかかります。
また爪のなかに通っている血管も伸びてきてしまい、短くできる長さが限られてしまうため、こまめなお手入れが必要です。

 

爪切りのコツ・ポイント⇩

  • 一度に全部切ろうとせず、数日に分けて少しずつカットする
  • 深爪しないよう、先端を1〜2mmずつ確認しながら切る
  • 爪切りが苦手な犬は、散歩後のリラックス時など落ち着いたタイミングを選ぶ
  • ⇧もしくは、爪やすりでこまめに削る
  • 出血に備えて止血剤を常備しておくと安心

少しでも不安な場合や体力が落ちている場合などは、無理をせず動物病院やトリミングサロンに依頼するのが安全です。

 

デンタルケアの方法

歯周病はシニア犬に非常に多いトラブルのひとつです。口臭や歯ぐきの腫れだけでなく、心臓・腎臓・肝臓など全身の健康に悪影響を及ぼすこともあります。

歯ブラシ

  • 指サック型のブラシやガーゼを使い、軽くなでるように磨く
  • 歯の表面だけでなく、歯ぐきの境目もやさしくケア

歯磨きペースト

  • 犬用のペーストを使い、楽しみながら歯磨きできるようにする

動物病院でのチェック・ケア

歯石が多い場合や、歯肉に炎症が起きている場合などはまず動物病院に相談しましょう。

歯石を除去する処置を受けたり、歯磨き指導を行ってくれる動物病院がほとんどです。

口腔内の状態や体調、年齢などによってケア内容が大きく変わってくるため、動物病院に相談することをおすすめします。

 

負担軽減のアイデア(短時間・ソフトケアなど)

老犬は心身の負担が大きくなることで体調を崩してしまう可能性があります。

愛犬の様子を観察しながら、なるべく負担が少ない時間や方法を探りましょう。

負担軽減のアイディア⇩

  • 短時間で区切る:全身を一度にせず、今日は耳、明日は爪、というように分ける
  • リラックスできる環境:滑らないマットの上、飼い主さんの膝の上などで行う
  • ソフトタッチ:強く押さえず、皮膚や関節に優しい動きで
  • 声かけ・スキンシップ:やさしく声をかけながら行うことで安心感を与える
  • グッズを工夫:柔らかいブラシ、ケガ防止の爪切り、低刺激シャンプーなどを使用 など

 

動物病院にケアをお願いすると安心

家庭でのお手入れはとても大切ですが、どうしても限界があります。
特にシニア犬にとっては、心身の負担になってしまう場合もあります。

そこでおすすめなのが、動物病院で定期的な健康診断と一緒にケアをお願いする方法です。

動物病院にケアをお願いするメリット⇩

  • 爪や耳、歯の状態を獣医師にチェックしてもらえる
  • 薬用シャンプーを使ったプロのケアを受けられる
  • 体調変化を早期に見つけやすくなる
  • 急な体調不良にも安心 など

「お手入れ」と「健康チェック」をセットで行うことで、見落としがちな病気のサインを早期発見できるという大きなメリットもあります。

 

まとめ|シニア犬には「やさしさ」と「プロの手」が大切

皮膚・関節・感覚が衰えがちな老犬には、やさしいケアが必要です。

ブラッシング・シャンプー・爪切り・デンタルケアは、短時間でソフトに行うようにしましょう。

また、「分けて行う」「安心できる環境」「やさしいタッチ」が快適なお手入れのポイントです。

お手入れは定期的に必要なケアのため、おなじく定期的に必要な健診と一緒に通院のルーティーンにしても良いですね。

  • ケア ➡ 毎月
  • 定期健診 ➡ 半年に1回、ケアと一緒に

定期的に健康診断を受けながら、ケアを依頼するとより安心です。

お手入れは、愛犬の清潔さを守るだけでなく、飼い主との信頼関係を深める時間でもあります。
ぜひ「やさしさ」を大切にしながら、無理のないお手入れ習慣を続けていきましょう。

※お手入れ方法などは犬の状態によって適切な内容が異なります。
ご不明な点などがございましたらかかりつけ動物病院にご相談ください。

 

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執筆者:土田(トライザ株式会社 動物看護師、トリマー)