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動物介護士が解説|老犬が食べないときに試してほしい8つのこと

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動物介護士が解説|老犬が食べないときに試してほしい8つのこと
老犬になった愛犬がご飯を食べないと、体力の低下や体調不良が心配ですよね。

「少しでも食べてほしい」とさまざまなドッグフードを購入してみたり、強制給餌も頭をよぎるのではないでしょうか。

実際、私も高齢の愛犬が何も食べてくれないときに、食いつきが良さそうなドッグフードを片っ端から試したこともありました。

そこで今回は、動物介護士やペットフーディストであり実際にシニア犬4匹と暮らしていた私が、老犬がご飯を食べないときに試してほしいことをご紹介します。

愛犬に美味しくご飯を食べてもらいたい飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
 ■ 保有資格
動物介護士 / ペットフード安全管理者 / ペットフーディスト 他

老犬になるとご飯を食べなくなる理由

もともと老犬は、老化による運動量や基礎代謝の低下、内臓機能の低下、味覚や嗅覚の低下などで食欲不振になりやすいです。

また、食に対するこだわりが強くなったり嗜好の変化によって、気に入らないものは食べないということも起こってきます。

さらに、年齢を重ねるごとに頑固さも強くなるため、自分の食べたいタイミングや食べる気分ではない時は、たとえお腹が空いていても食べないこともあるでしょう。

もちろん、口内環境の悪化や心身の不調、病気が原因で食べない場合もあるため、老犬がご飯を食べない、毎回ご飯を残すといったことが見られた時は、まずは動物病院を受診することをおすすめします。

老犬がご飯を食べない時に試してほしい8つのこと

動物介護士が解説|老犬が食べないときに試してほしい7つのこと
老犬がご飯を食べないときに試してほしいことはたくさんありますが、その前に犬がご飯を食べない時の対策方法をおさらいしておきましょう。

犬がご飯を食べないときの対策方法は、主に以下のことがあります。

 ■ 犬がご飯を食べない時の対策法
・温めて香りを立たせる
・ドライフードをふやかす
・トッピングをする
・ウェットフードを取り入れる
・手作りご飯にする
・運動量を満たす

老犬と暮らす飼い主さんなら、これらの対策方法を知っていたり、すでに試したことがあるのではないでしょうか。

これで食べてくれたらいいですが、それでも老犬は食べないことが多々ありますね。

ここでは、そんな老犬に試してほしい8つのことをご紹介します。

①脂質の高いフードを与えてみる

老犬は内臓機能が衰えることから、老犬用ドッグフードの脂質は控えめになっていることがほとんどです。

しかし、脂質は犬の食いつきとも大きく関係しています。

老犬が食べない時は食べてもらうことのほうが重要なので、老犬用にとらわれず脂質が高めになっているフードを選んでみましょう。

特に子犬用フードは栄養価が高く、消化の負担や嗜好性にも配慮されているため、少ししか食べられない老犬や食べない老犬にも与えやすいです。

また、小型犬は選り好みする傾向にあり、体が小さくなればなるほど食への関心が薄くなりやすいことから、超小型犬用や小型犬用のフードは食いつきにも配慮されている製品が多いです。

そのため、脂質が高めであることだけでなく、子犬用や超小型犬用、小型犬の子犬用といったフードを選ぶと、より食べてくれる可能性は高まるでしょう。

ただ、獣医師から脂質制限の指示がある場合は獣医師に確認する必要があったり、肥満気味の老犬やお腹が弱い老犬では慎重に検討する必要はあります。

老犬のドッグフードの選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

 専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ

②内臓肉も使用しているフードを与えてみる

ドッグフードに、心臓(ハツ・ハート)や肝臓(レバー)、胃(トライプ)といった内臓肉が使用されているフードを与えてみるのもおすすめです。

犬がなぜ内臓肉を好むのかは諸説ありますが、内臓肉には犬に必要な栄養が豊富に含まれていることから、本能で感じ取っているのではないかとも言われています。

実際、内臓肉は栄養価が高く、老犬が積極的に摂取したい食材です。

ドライフードだけでなく、ウェットフードやフリーズドライフードなどでも内臓肉を使用したものが販売されているので、試してみるといいでしょう。

ただし、単体でレバーだけを継続して大量に与えているとビタミンA過剰症になる恐れがあるため、おやつやトッピングなどでレバーを与える場合は少量にとどめることが大切です。

③フードの食感を変えてみる

ウェットフードに水分をプラスしたり、とろみをつける、ミキサーにかけるなど、フードの食感を変えてみましょう。

老犬は、歯が悪くなっていたり飲み込む力が低下して、食べたくても食べられないということがよくあります。

実際、ウェットフードも食べなくなってしまった高齢の愛犬に、ミキサーにかけたウェットフードを与えたところ、それまでがウソのようにしっかり完食するようになりました。

さらに、ウェットフードを食べないときはドライフードを食べるなど、気分によって食感のこだわりも変わっていたほどです。

また、トッピングや手作りご飯でお肉を使用する場合も同様です。

お肉を使用する場合は、ささみや胸肉、ロース肉にモモ肉など使用する部位や、蒸す、焼く、茹でるなどの調理方法をその時々で変えてみるといいでしょう。

このように、愛犬のこだわりを理解して合わせてあげることで食べてくれる可能性が高まります。

④食事の回数を増やす

老犬は消化機能や代謝機能が衰えることから、もともと食欲が低下しがちです。

しっかり食べてもらうためにも、内臓に負担をかけないように1回の食事量を減らして回数を増やしてあげましょう。

愛犬の状態にもよりますが、目安として老犬では1日3〜4回程度、高齢の老犬では4〜5回程度にしてあげると良いでしょう。

私の高齢の愛犬たちの食事回数は以下の通りでした。

  • 10歳~12歳…3回
  • 12歳~16歳…4回
  • 16歳~18歳…5回

年を取るごとに一度に食べられる量が減り、16歳をすぎたあたりから食べなくなってきたため、食べてくれそうなタイミングに無理のない量を与えていたら、このようになりました。
実際に食事の回数を増やすことで食べてくれやすくなったので、試してみる価値はあるのではないでしょうか。

⑤1日の中でフードローテーションをする

老犬によっては、同じフードを続けて食べないということもあるので、1日の中で朝、昼、夜とフードローテーションをしてみるのもいいでしょう。

味や食感、フードタイプを変えてあげることで飽きにくくなるのはもちろん、目新しさから食べてくれるかもしれません。

もちろん、フードローテーションにはアレルギーが出たときに何がアレルゲンか特定しにくいというデメリットもありますが、逆にアレルギー発症リスクを下げたりさまざまな栄養素を取り入れられるというメリットもあります。

またヒトの研究では、さまざまなものをバランスよく食べた場合に認知機能が低下しにくいという報告(※)もあり、犬でも認知症の対策になる可能性があるでしょう。

⑥食器を変えてみる

老犬は、食器を変えただけで食べてくれるようになることもあります。

老犬になると何にこだわりが強くなるかはさまざまで、平べったいお皿でなければ嫌な場合や、深すぎる器が嫌な場合、食器自体が嫌な場合など、食器に対するこだわりがある場合も珍しくはありません。

また、食器にたくさんフードが入っているのが嫌で食べないということも考えられるため、食器や食器に入れるフード量も愛犬の好みを探してあげるといいでしょう。

⑦食事の補助をしてあげる

老犬になると、下を向く体勢が辛かったり、舌の動きが悪くなって上手に食べ物をすくえないということもあります。

愛犬の状態によって補助の方法は異なりますが、食べたいのに食べられないということはストレスにもなるため、食べるサポートをしてあげましょう。

 ■ 老犬の主な食事の補助方法
・食べやすいように食事台を用意する
・角度のあるフードボウルを使用する
・スプーンや手で口元に運んであげる
・ペースト状にしたフードを上顎に塗ってあげる
・シリンジで口の中に入れてあげる

ただし、シリンジを使用する際は誤嚥に注意が必要です。
かかりつけの獣医師に相談し、正しい使用方法を教えてもらってから行うことをおすすめします。

⑧人肌程度に温めたフードを与える

老犬のご飯は、人肌程度に温めたものを与えてみましょう。

老犬は口の中にトラブルを抱えていることも多いですが、温めることで口当たりが良くなるため食べやすくなります。

また、温めると香りが立つのはもちろん、甘みや旨みを強く感じやすくなるので、老犬の食欲を刺激してあげられるでしょう。

ただし、熱すぎても冷たすぎても歯にしみやすいため、人肌程度のぬるい温度がおすすめです。

【こんな時はどうする?】老犬がご飯を食べない時によくあるQ&A

動物介護士が解説|老犬が食べないときに試してほしい7つのこと

老犬がご飯を食べない時は、いろいろ悩んでしまうこともありますね。
ここでは、よくある疑問について解説します。

老犬は何日くらいご飯を食べなくても大丈夫?

若く健康な成犬であれば、2〜3日食べなくても水を飲んでいれば問題ないとされていますが、老犬では話が違います。

老犬の状態にもよりますが、1日食べなければ体や心など、どこかに不調があると考えて早めに動物病院を受診しましょう。

老犬の場合、元気そうに見えても大きな病気が隠れていることもあります。

さらには、老犬では体力も免疫力も低下していることから、些細な病気が重症化してしまうことも珍しくはありません。

愛犬に苦しい思いをさせないためにも、獣医師にご相談ください。

また、実際に私の愛犬は同居犬の他界によりショックで何も食べられなくなりました。

そうした精神的な理由でご飯を食べないこともあるため、身体のケアだけでなく心のケアにも配慮してあげましょう。

ご飯を食べない時は無理矢理でも食べさせたほうがいい?

これは老犬の状態や飼い主さんの考えにもよる難しい問題ですが、食べたくても食べられないなど食べたい気持ちが見える場合や、明らかに状態が悪い場合以外では食べてもらうための工夫をしてみましょう。

さきほどご紹介したように、老犬は食器や食器の高さ、タイミング、食べたいものの変化など、こだわりが強くなります。

愛犬のこだわりにぴったり合えば、無理矢理でなくても食べてくれる可能性が高くなるため、愛犬の様子を観察しながらこまめにご飯を出してみましょう。

また、強制給餌を検討している場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

老犬が食べないときは点滴してもらえば大丈夫?

残念ながら、動物病院で行われる点滴は水分とミネラルの補給で、犬が1日に必要とする栄養素やエネルギーを補給することはできません。

脱水を回避するという点では有効ですが、老犬の状態によっては点滴が身体の負担となってしまうこともあります。

可能なかぎり口から栄養を摂れるように、食べてもらうための工夫をしてみましょう。

まとめ

動物介護士が解説|老犬が食べないときに試してほしい7つのこと
愛犬がご飯を食べないと心配や不安でいっぱいになり、何なら食べてくれるのか、どうしたら食べてくれるのかとそればかり考えてしまうのではないでしょうか。

老犬がご飯を食べない原因は老化や病気、ストレスなどさまざまですが、食べない理由はひとつではなく複数が組み合わされていることも珍しくありません。

どんな理由で食べないのかを考え、理解してあげると共に、愛犬の状態やこだわりに合わせてご飯を食べてもらえるように配慮してあげましょう。

また、困ったことや不安なことがある時などは、おひとりで悩まず獣医師や看護師、動物介護士など専門家に相談することで解決策がみつかりやすくなりますよ。

※フードの内容や与えかたなどは、犬の体調や状況によって適切な内容を選択しましょう。
ご心配なことがある場合は、まずはかかりつけの動物病院にご相談ください。

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執筆者:高田(動物介護士)