動物介護士が解説|老犬が散歩を嫌がるときはどうする?回数や時間の目安も

「愛犬が老犬になって散歩を嫌がるようになった」という飼い主さんは少なくありません。
犬にとって散歩は大切なものですが、嫌がる老犬の散歩はどうしたらいいのか悩んでしまいますよね。
また、老犬になって疲れやすくなったり持病を抱えていると、散歩の回数を減らした方がいいのかと思うこともあるでしょう。
今回は、動物介護士で実際に高齢犬たちと暮らしてきた私が、老犬の散歩について解説します。
■ 保有資格 動物介護士 / ホリスティックカウンセラー / ペットフード安全管理者 / ペットフーディスト 他 |
そもそも老犬に散歩は必要?嬉しいメリットがたくさん!
基本的には老犬であっても散歩は必要で、連れ出してあげたほうが心身の健康に良い影響を与えるケースが多いです。
犬の散歩には、気分転換やストレス解消(※1)、筋力アップ、運動不足解消、五感の刺激、飼い主さんとのコミュニケーションの時間などさまざまな役割がありますが、老犬ならではの嬉しい効果もあります。
自力で歩くことが難しい場合では、ペットカートや補助ハーネスなどを利用して散歩に連れ出してあげましょう。
ここでは、老犬が散歩に行くメリットを解説します。
メリット① 認知症の予防・進行抑制
運動不足の犬は認知症になりやすい(※2)という報告があります。
散歩によって運動不足を少しでも軽減してあげることが、認知症の予防に役立つのです。
すべての老犬に認知症を発症するリスクがありますが、年齢だけでみた場合、1歳年を取るごとにそのリスクは70%増える(※3)との報告もあり、予防を意識してあげることは大切です。
さらに、外の景色や匂い、音、温度といったさまざまな刺激は脳を活性化させてくれます。
脳の刺激不足は認知症を進めてしまう要因でもあり、散歩で適度に脳に刺激を与えてあげることはすでに認知症を患っている老犬にも有効な手段です。
犬の認知症については以下の記事をご覧ください。
動物介護士が解説|犬の認知症の症状は?予防や対策方法 |
メリット② 体内時計の調整・質の良い睡眠
日中の散歩は日光浴を兼ねることができます。
老犬が日光浴をすることで、脳内伝達物質のひとつ「セロトニン」の分泌が促され、体内時計の調整や質の良い睡眠への誘導、睡眠リズムの調整などが行われます。
老犬になると、夜に元気になることが多い傾向にあり、そのまま昼夜逆転を起こしてしまうことも珍しくありません。
狂ってしまった体内時計をリセットしてあげるためにも、日光浴は有効です。
また、日光を浴びることによってビタミンDの生成も促されます。
ビタミンDは免疫機能の調整に欠かせないだけでなく、近年は認知症の予防に有効である可能性があるとして注目されています。
それらに加え、散歩をすることでエネルギーを消費するため、ぐっすり寝てくれることにつながるでしょう。
老犬の睡眠に関する悩みは、以下の記事も参考にしてみてください。
動物介護士が解説|老犬が夜寝ないけど大丈夫?原因と対処法 |
動物介護士が解説|老犬が寝てばかりいるのは病気?注意点や気をつけてあげたいこと |
メリット③ 筋力の維持
歩くことは、筋肉や関節を動かす動作の繰り返しです。
散歩で普通にアスファルトの上を歩くのではなく、坂道や砂利道、砂や土の上、芝生の上を歩いてもらうことで、効率的に筋肉を鍛えやすくなります。
特に老犬は後ろ足の筋肉から落ちていき、筋肉が衰えれば歩くことも難しくなってくるため、筋力の維持のためにも散歩は大切といえるでしょう。
雨の日など散歩に行けないときは、クッションやマットレスなど、柔らかく弾力性のあるものの上を歩いてもらうと砂や土の上を歩いているのと同じような、適度な負荷がかかるのでおすすめです。
また、お座りと3秒ほどかけて立たせることを繰り返すことでスクワットのような効果が期待でき、後ろ足の筋力アップに役立つため、ぜひ散歩中や室内遊びに取り入れてみましょう。
老犬が散歩を嫌がるときは?状況に応じて臨機応変に!
散歩は老犬にもさまざまなメリットがありますが、愛犬が嫌がるときはどうしたらいいのかと悩んでしまいますね。
犬の散歩は毎日行くことが理想ですが、老犬の場合、嫌がるときは無理に行く必要はありません。
とはいえ、外に出てみたら張り切って散歩に行く老犬もいるため、体調が良さそうであれば家の外まで連れて行ってみるといいでしょう。
実際に、私の愛犬たちはシニアになってからいつも散歩に行きたがらない様子でしたが、一旦外に出ると普通に散歩をしていました。
一度家の外に出てみて、それでも嫌がる場合はその日は散歩に行かずに室内で一緒に遊びながら筋トレや日光浴をしてもらいましょう。
老犬は可能な限り散歩に行ったほうが良いケースが多いですが、絶対に行かないとダメ!というわけではありません。
愛犬の様子や状況を見て判断してあげることが大切です。
老犬が散歩を嫌がる理由は?主な理由2つ
では、老犬はなぜ散歩を嫌がるのでしょうか。
通常、犬が散歩に行きたがらない理由には、ハーネスや首輪が合っていない、散歩で嫌な経験をしたトラウマ、ストレスなどが挙げられます。
それらに加えて、老犬では体力の低下によって散歩より寝ていたいと思ったり、老犬は頑固になる傾向が強いことから暑い日・寒い日・雨の日など外に出たくないと思えば動かないでしょう。
このように、老犬ならではの理由もあるため、愛犬がなぜ散歩を嫌がるのか考えてあげることが大切です。
また、単に「老犬だから」と見逃してはいけないこともあるので、老犬が散歩を嫌がる主な理由を知っておきましょう。
足腰の痛みや病気などによる身体の不調
老犬は、加齢によって関節軟骨の変化や変形が起きて関節の働きが悪くなります。
さらに、背骨にある骨と骨の間でクッションの役割を果たす椎間板の機能も低下するため、足腰に痛みを抱えやすいです。
また、心臓病や腎臓病などの内臓疾患も抱えやすくなり、動くことで痛みやつらさ、息苦しさなどを感じてしまうこともあります。
何日も散歩に行きたがらない場合は、身体の不調や痛みを感じている可能性があるため、一度獣医師にご相談ください。
意欲低下や好奇心低下など心の不調
老犬になると、加齢による脳神経細胞の減少によって新しいことを受け入れることが難しくなります。
ほかにも、感覚機能の低下や体の違和感、思うように体を動かすことができなくなるなどで不安を抱えやすく、意欲の低下や好奇心の低下など、心の不調が現れることがあります。
老化による避けようがないものもありますが、体調不良や病気のサインである場合もあるため、意欲低下の状態が続く場合は動物病院を受診することをおすすめします。
老犬の散歩の頻度や時間の目安は?時間を短くして回数を増やそう
個体差や犬種による違いもありますが、成犬の散歩の頻度や時間の目安は、以下のとおりです⇩
● 小型犬
…1日1~2回 1回15~30分程度
● 中型犬
…1日2回 1回30~60分程度
● 大型犬
…1日2回 1回60分程度
しかし、老犬では長時間の散歩が負担となってしまうことがあります。
また、散歩の途中で歩かなくなったり、散歩を嫌がるようになることを防ぐためにも、1回の時間を短くして回数を多くしたほうが良いでしょう。
ただ、老犬によって疲れ具合は異なるのはもちろん、そのときの愛犬の状態によっても違ってきます。
時間や回数だけにとらわれず、愛犬の状況に応じて調整してあげることが大切です。
老犬の散歩の注意点
老犬の散歩には、成犬のとき以上に注意してあげなければいけないこともたくさんあります。
ここでは、老犬を散歩に連れて行くときの注意点を見ていきましょう。
散歩前に体調を確認してあげる
老犬を散歩に連れて行く前に、体調を確認してあげることをおすすめします。
具合が悪そうにしている場合は、散歩を控えるようにしましょう。
散歩は体力を消耗するため、体調が悪い老犬を無理に連れ出すと体調の回復を遅れさせてしまう原因になります。
散歩前にウォーミングアップをしてあげる
老犬は筋肉のこわばりや関節トラブルを抱えやすいため、散歩に行く前はウォーミングアップ(準備運動)をしてあげましょう。
お座りと3秒ほどかけて立たせることを繰り返すスクワットや、関節をマッサージしてあげると関節の負担を軽減することができます。
また、急に運動することは心臓に負担をかけてしまうため、室内で少し歩いてもらってから散歩に出ることで心臓への負担も軽減されます。
時間帯に配慮してあげる
老犬は体温調整機能も衰えるため、体温調整が上手にできません。
そのため、夏場は涼しい早朝や夜間など、冬場は日が出ている日中など、できるだけ負担がかかりにくい時間帯を選んであげましょう。
また、夏場は水分補給や夏用の服による熱中症対策、冬場は暖かい服や腹巻きなどで防寒対策を行うことが大切です。
さらに、涼しい室内から急に暑い外に出る、暖かい室内から急に寒い外に出るといったことは、急激な温度の変化によって血圧の乱高下を引き起こし、ヒートショックを招きやすくなります。
老犬をいきなり外に出すのではなく、部屋から廊下で数分、廊下から玄関で数分と少しずつ外気に慣らすことも重要なポイントです。
ハーネスを使用してあげる
老犬は転倒しやすくなったり、気管が弱くなっているケースもあるため、首にかかる負担を軽減するためにもハーネスを使用してあげましょう。
ハーネスは上半身を包み込んでくれるようなしっかりしたタイプを選ぶことで、体への負担が少ないのはもちろん、転倒しそうなときに支えられたり、転倒してしまったときに起こしてあげるサポートがしやすくなります。
体調の変化に気を配ってあげる
老犬は体調の変化が激しいため、散歩に出る前は元気でも、散歩中に急に体調が悪くなるということもあります。
常に体調に変化がないか、気を配ってあげることが大切です。
また、散歩中に倒れたり今にも倒れ込みそう、ふらふらしている、急に座り込むなどの状態は、心臓に何らかの異常が起きている可能性があるため、すぐに動物病院に向かいましょう。
老犬の散歩に出るときは、もしもに備えて動物病院の診察券や病院代を持っていくことをおすすめします。
ペットカートを使用するときは落下しないように注意してあげる
ペットカートを使用するときは、飛び出したり落下しないように飛び出し防止のフックをつけるなど工夫しましょう。
老犬は骨が弱くなりがちで、飛び出しや落下によって骨折やケガをしてしまう可能性があるため十分に注意してあげることが大切です。
また、小型犬はペットカートに乗ることで目線が高くなり、いつもより強気になってしまうことも。
他の犬や知らない人に吠えたり威嚇するなどの興奮状態が続くと心臓に負担がかかるため、興奮しやすい場合は目隠しできるタオルなども持って出かけるといいでしょう。
まとめ
老犬の散歩は、成犬のときの散歩と同じ時間や頻度で行うと負担となることがあります。
それが原因で散歩を嫌がるようになる場合もあるため、まずは散歩時間を見直してみることをおすすめします。
また、嫌がるのは病気などのサインである場合もあるため、病気を進行・悪化させないためにも一度動物病院を受診しましょう。
老犬にとって散歩はさまざまなメリットがありますが、無理のない範囲で行うことが大切です。
また、足腰の痛みがある老犬や自力で歩くことができない老犬では、ペットカートや抱っこなどで散歩させてあげましょう。
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執筆者:高田(動物介護士)
<参考文献>
※1:ScienceDirect「Behavioural and physiological indicators of shelter dogs' welfare: Reflections on the no-kill policy on free-ranging dogs in Italy revisited on the basis of 15 years of implementation」
※2:動物臨床医学「犬と猫の高齢性認知機能不全」
※3:scientific reports「Evaluation of cognitive function in the Dog Aging Project: associations with baseline canine characteristics」