老犬が朝ごはんを食べないのはよくあること!理由と対処法を専門家が解説
老犬になった愛犬が、それまで普通にごはんを食べていたのに、急に朝ごはんを食べないと心配になりますよね。
私も以前、高齢の愛犬(虹組)に朝ごはんだけ食べないということが起きて、「持病が悪化した?他の病気になった?」と動物病院に駆け込んだことがありました。
そこで獣医師からは「老犬にはよくあるんですよね」と教えていただきました。
もちろん、朝ごはんを食べないのは体調不良や病気のサインであることもありますが、加齢にともなって見られることもあるのです。
そこで今回は、動物介護士の私が、老犬が朝ごはんを食べない理由と対処法について解説します。
動物病院を受診すべき目安についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
| 執筆者:高田
【保有資格】 |
※愛犬の体調についてご心配な事がある場合は、かかりつけ動物病院へご相談ください
老犬が朝ごはんを食べない理由
老犬が朝ごはんを食べないのは、加齢による自然な変化であることも多いです。
朝ごはんだけ食べなくて、お昼や夜ご飯は食べるということも見られるのではないでしょうか。
老犬が朝ごはんを食べない理由を知っておくことで、必要以上に不安にならず愛犬に合った対応がしやすくなります。
①朝は代謝が上がらない
老犬になると、朝起きてから「食べるためのスイッチ」が入るのに時間がかかるため、朝ごはんを食べないということも珍しくありません。
犬も年齢を重ねると基礎代謝が低下し、体温の立ち上がりや血流、消化の働きがゆっくりになります。
食欲はこうした体の働きや、自律神経の切り替わりと密接に関係しています。
特に老犬では、この切り替えに時間がかかるため、朝は食べられないのに昼頃になると普通に食べるということが見られるのです。
人間でも朝ごはんが食べられないという人がいるように、老犬でも同じことが起こっていると考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
②胃が動きにくく前日のごはんが残っている
老犬は胃腸の働きがゆっくりになるため、前日に食べたごはんがまだ胃の中に残っていて、お腹が空いていないことがあります。
加齢によって胃の収縮力や消化のスピードが低下し、食べたものを若い頃のようにスムーズに胃から腸に送ることができません。
そのため、朝になっても胃が重く感じられ「まだ食べる気がしない」という状態になりやすいのです。
特に硬めのフードや高脂肪フード、繊維質の多い食材は老犬にとって消化しにくく、胃に残りやすくなります。
人間でも、夜に食べ過ぎてしまったり脂っこいものを食べると、翌朝胃がもたれて何も食べたくないことありますよね。
老犬も同じで、胃がすっきりしていないと食欲がわきにくくなるのです。
③胃酸で気持ち悪い
老犬は胃の働きが弱くなることで胃酸の調整が上手くいかず、朝に胃酸が増えすぎて気持ち悪くなり、食べたくなくなることがあります。
夜間はもともと胃酸が分泌されやすい時間帯ですが、加齢によって胃の動きが弱くなり、胃酸を十二指腸に送り出す力や胃酸を中和する働きが低下します。
そのため、夜から朝にかけて胃の中が空っぽの時間が長くなると、胃酸だけが残ってしまい、気持ち悪さにつながるのです。
また、前日のごはんが胃に残っていた場合でも、胃が重い状態で朝を迎えることとなり、そこに胃酸がたまることで気持ち悪さがさらに強まることもあります。
④起きた直後は体がつらい
老犬は寝起きに体がこわばったり痛みが出やすく、起きてすぐは体がつらくて食べる気にならないことがあります。
加齢によって関節の動きが硬くなったり筋力が低下しますが、寝ている間に同じ姿勢が続くことで体が固まり、起きた直後は思うように体を動かすことができません。
そのため、立ち上がったり、首を下げて食器に顔を近づけるなどの食べる姿勢自体が負担になり、朝ごはんを食べる気になれないのです。
さらに、老犬は寝起きの体温が上がりにくいため、全身が重く感じやすくなります。
こうした体のつらさから、朝はごはんを食べる余裕がないということも老犬では珍しくありません。
⑤朝は食べ物の匂いを感じにくい
老犬は朝は体温や血流が十分に上がっておらず、嗅覚が働くための準備が整うまでに時間がかかるため、寝起きの時間帯は匂いを感じにくくなります。
犬は匂いで食欲が刺激されますが、寝起きは呼吸が浅かったり、鼻粘膜が渇いていたり、自律神経の切り替えがゆっくりで、食べ物の匂いに反応しづらい状態です。
匂いがしっかり感じられないと、ごはんへの興味がわかず、食べたいという気持ちにつながりにくくなります。
⑥口や歯が痛い
朝に限った話ではありませんが、口の中や歯が痛くてごはんを食べないということはとても多いです。
老犬は歯周病や口内炎など口のトラブルを抱えていることがほとんどで、噛むと痛かったりしみたりして、食べたくても食べられないということがあります。
実際、3歳以上の犬の80〜90%は歯周病にかかっていると考えられており、老犬になるとその状態が悪化していることも珍しくありません。
朝ごはんを残す理由としてもよく見られるため、口の中の痛みや違和感が疑われる場合は一度動物病院を受診することが大切です。
老犬が朝ごはんを食べないときの対処法

老犬が朝ごはんを食べない理由はさまざまですが、ちょっとした工夫をしてあげることで食べてくれることもあります。
ここでは、老犬が朝ごはんを食べないときの対処法を見ていきましょう。
①朝は体をならす時間をつくる
老犬は「体が起きる」までに時間がかかります。
そのため、朝は5〜10分ほど体をならす時間をつくってあげましょう。
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■老犬の体をならす動きの一例 |
体を軽く動かすことで血流が良くなり、体温がゆっくり上がり始めます。
それに合わせて、自律神経が活動モードに切り替わり、胃腸も少しずつ働き始めるため、食べるためのスイッチが入りやすくなります。
②朝は少量ずつ出してプレッシャーを減らす
老犬は胃腸の動きがゆっくりだったり、気持ち悪さが残っていたりなど、最初の一口までのハードルが高くなりがちです。
そのため、朝から器いっぱいのごはんを見ると食べ始める気になれず、そのまま食べないということも珍しくありません。
まずはひと口分だけ器に出して老犬のプレッシャーを減らし、「これなら食べられそう」と感じやすくしてあげましょう。
食べ始めることができれば自然と食欲が戻ってくることも多いため、少しずつ足してあげることで無理なく食べ進められます。
③匂いで食欲スイッチを入れる
朝は食べるモードに切り替わりにくいため、匂いで食欲スイッチを入れてあげましょう。
朝ごはんに香りを立たせる工夫をすることで、老犬が口をつけやすくなります。
- ドライフードを電子レンジで20秒ほど温める
- 肉などの茹で汁を混ぜる
- 40℃程度のぬるま湯でドライフードをふやかす
- ウェットフード人肌程度に温める など
フードを温めることは、香りが強くなるだけではありません。
口の中のトラブルがあって食べられない老犬の口あたりが柔らかくなり、食べやすくなるというメリットもあります。
④夜に少し食べさせて朝の気持ち悪さを防ぐ
老犬が寝る前に、少しだけ軽く食べさせてあげる方法も有効です。
少量でも胃に食べ物が入ることで、胃酸だけが残る状態を防ぎやすくなるため、朝の気持ち悪さを抑えやすくなります。
寝る前に食べさせるものでおすすめなのは、ふやかしたフードやウェットフード、ササミや卵などの消化にやさしいものです。
ひと口かふた口程度食べてもらうと良いでしょう。
ただし、前日のごはんが胃に残りやすい老犬もいるため、愛犬はどちらのタイプか様子を見ながら判断してあげてくださいね。
⑤器を食べやすい高さにする
朝ごはんは、老犬が楽な姿勢で食べられる器の高さに調整してあげましょう。
食べやすいのは、器の底が肩より少し下の胸くらいの高さです。
これくらいの高さだと、前のめりにならず、首も下げすぎないため、食べる姿勢がつらくなりません。
最近は、高さが調整できる食器台(食事台)なども販売されているので、愛犬に合ったものを選びやすいでしょう。
また、食事スペースに滑りにくいマットを敷いてあげると、踏ん張るための足元も安定しやすくなります。
⑥消化の良いごはんに切り替える
老犬はもともと消化機能が低下していることも踏まえ、消化の良いごはんに切り替えてあげましょう。
消化の負担が少なくなることで、朝の胃の重さや気持ち悪さを感じにくくなり、ごはんを食べやすくなります。
消化の良いごはんの例をまとめてみたので参考にしてください。
- フリーズドライフード
- フレッシュフード(冷凍)
- ウェットフード
- ふやかしたドライフード
- 超小粒タイプのドライフード
- 低脂肪のドライフード など
ただ、急な切り替えはお腹に負担をかけてしまうため、2週間程度ゆっくり時間をかけて移行しましょう。
体調が心配だったり、持病がある場合、フードの選択は動物病院に相談すると安心です。
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⑦朝にこだわらず食べられる時間に食べてもらう
いろいろ試しても食べないのであれば、朝にこだわらず、食べられる時間に食べてもらいましょう。
朝ごはんを食べないと、「食べてもらいたい」と必死になってしまうこともあるのではないでしょうか。
私もそうでした。
しかし、無理に食べさせようとすると、かえって老犬にとって負担になってしまうことも。
人間でも、食べたくないときに「ごはんを食べて」と言われたらつらいですよね。
老犬も同じで、犬それぞれに食べやすいタイミングがあります。
実際に、私の愛犬が朝ごはんを食べなくて動物病院を受診したとき、獣医師から「1日の中でトータルの必要カロリーが摂れていれば大丈夫ですよ」と言われました。
朝が苦手な老犬はとても多いため、日中の食べられる時間を見つけてあげることも大切な対処法のひとつです。
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老犬が朝ごはんを食べないときに動物病院を受診するべき目安
老犬が朝ごはんを食べないことはよくあることですが、なかには病気が隠れていることもあります。
次のような様子が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
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■動物病院を受診すべき状態(例) ・24時間何も食べない ・嘔吐や下痢、軟便が続いている ・ぐったりしている、元気がない ・急激な体重減少がある ・明らかにいつもより飲水量が多い・少ない ・口を触られるを嫌がる、よだれが増える など |
一方で、朝ごはんは食べないものの、昼や夜はいつも通りに食べられていて元気がある場合は、すぐに受診が必要ではないことも。
ただし、老犬は体調が急に変化しやすい時期であることを忘れてはいけません。
少しでも不安があるときや、「いつもと違う気がする」と感じたときは、念のため動物病院を受診することも大切です。
そこで何もなければそれだけで安心ですし、もし異常が見つかった場合でも早い段階で対処できます。
まとめ
老犬が朝ごはんを食べないのは、全体的にみれば“よくあること”です。
年齢を重ねた体は、その犬なりのペースやリズムがあり、食べるという行動に移るまでに時間がかかることもあります。
大切なのは「食べない」という行動だけで判断せず、その日の元気や食欲、様子など全体を丁寧に見てあげることです。
愛犬のペースを見つけて、寄り添ってあげてくださいね。
