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専門家が解説|老犬の食事回数や食事内容は?食事量や注意点も

目次

老犬になると内臓の機能が衰えがちになるため、食事内容や食事回数など配慮してあげなければいけないことがたくさんあります。

また、運動量が減ったり代謝が落ちることから、必要なエネルギー量も少なくなるため、食事量も変えてあげなければいけません。

今回は老犬の食事についてスポットをあて、食事回数や内容、食事量などについて解説します。

老犬の食事には注意してあげたいこともあるので、ぜひ参考にしてくださいね。

 【執筆者保有資格】

動物介護士、ペットフーディスト、犬の管理栄養士 他

 

老犬の食事内容は?愛犬の状態に合わせて変えてあげよう

老犬になると、以下のような変化が起きてきます。

✅ 代謝が落ちて太りやすくなる

✅ 免疫力が低下する

✅ 内臓機能が低下する

✅ 消化・吸収力が低下する

✅ 筋肉量が減る

✅胃腸が弱くなる

そのため、基本的に老犬には老犬用の「総合栄養食」のドッグフードを与えますが、あまり量を食べられない場合は子犬用の総合栄養食を与えるなど、臨機応変に対応してあげることが大切です。

 ■ 総合栄養食とは?

そのフードと水だけで指定された年齢に必要な栄養素が補えるもの。
一般食や栄養補助食、栄養補完食などは食いつきを良くしたり栄養をプラスすることができるが単体での使用はできない。

 

最近はペットショップやホームセンター、通販などでも療法食を購入することができますが、「血液検査の数値が悪かった」「病気の予防に」などの理由で、個人の判断で療法食を利用することはやめましょう。

療法食は特定の栄養成分が調整されており、栄養制限の必要がない老犬に与えると栄養不足や体調不良など、体に悪影響を与える恐れがあります。(※)

療法食は獣医師の指示で与えるものであり、例え病気でも指示がなければ与えるべきものではないので注意してください。

老犬のドッグフードの選び方については、以下の記事を参考にしてみてください⇩

 専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ

 

老犬の食事の回数は?一回の量を減らして3~5回に分けてあげよう

老犬は内臓機能が衰えがちになるため、食事量が多いと消化器に負担がかかりやすくなります。

一度に食べられる量も減ってしまう傾向にあるので、一回に与える量を減らし、食事の回数を増やしてあげましょう。

食事回数を増やすことで消化への負担が軽減されるだけでなく、消化吸収にも良いですよ。

7歳~10歳頃の老犬の場合

老化のスピードや衰えかたは個体差がありますが、シニア期に入ると緩やかに体のさまざまな機能が衰え始めます。

そのため、一日の食事回数は3〜4回ほどにしてあげると良いでしょう。

11歳頃~の高齢犬の場合

何歳からが高齢犬という明確な年齢はありませんが、一般的には寿命の3分の2を過ぎると高齢期(ハイシニア期)とされています。

ただ個体差がとても大きいため、愛犬が高齢期に入ったかどうかは、かかりつけの獣医師に意見を伺ってみることをおすすめします。

高齢犬になると、消化機能や嗅覚の衰えはもちろん、歯周病などで口の中にトラブルを抱えていることも多く、食べたくても食べられないということも珍しくありません。

そのため、一日の食事回数は4〜5回ほどにしてあげると良いでしょう。

老犬の食事量は?カロリー計算のやり方を覚えよう

ドッグフードのパッケージには、給与量の目安が書かれていることがほとんどです。

しかし、この給与量はあくまで目安となり、ライフステージや避妊・去勢手術の有無、体型などにもよって異なります。

老犬に成犬のときと同じ給与量を与え続けると肥満などにつながる可能性があるため、適切な食事量を与えることが大切です。

ここでは、老犬の食事量の計算方法について順番に解説します。

「√(ルート)」キーのある電卓ひとつででき、体重を調整することにも役立つので、ぜひ覚えておきましょう。

① まずは安静時エネルギー要求量(RER)を求める

安静時エネルギー要求量とは、一日中安静に過ごしている時に必要なエネルギーのことです。

1. 愛犬の体重(kg)× 愛犬の体重(kg)× 愛犬の体重(kg)= △△

 例)5 × 5 × 5 =125

2. 1で出た値△△に対して√を2回押す
 例)125 √ √ (電卓の数字は3.34370…)

3. 2で出た値 × 70 =▲▲
 例)3.34370… × 70 = 234.059…

体重5kgの老犬の場合では、一日の安静時エネルギー要求量は「234.0kcal」となります。

安静時エネルギー要求量は、動かずじっとしていた場合のエネルギー量なので、ここに活動した場合のエネルギー量を加えてあげなければいけません。

② 活動係数をかけて1日のエネルギー要求量(DER)を求める

活動係数とは、年齢や状態に応じて考慮する活動量の数値です。

老犬の状態 活動係数
避妊・去勢なし 1.4
避妊・去勢済み 1.2
肥満気味 1.0~1.2
減量が必要  1.0

 

成犬は活動係数が1.6や1.8ですが、老犬は運動量などが減ることから活動係数も低くなります。

「①安静時エネルギー要求量を求める」で出た数値に、この活動係数をかけてあげると、一日に必要な摂取カロリーが算出されます。

例として体重5kgの避妊・去勢済みの老犬で算出してみると、

安静時エネルギー要求量 234.0 × 活動係数 1.2 = 280.8

上記のようになり、一日に必要な摂取カロリーは「約281kcal」です。

③ 一日あたりの食事量を求める

一日に必要な摂取カロリーが分かったら、最後に1日あたりの食事量を計算します。

まず、普段与えているドッグフードの100gあたりのカロリー(代謝エネルギーなどの記載の場合も)をパッケージで確認しましょう。

 一日に必要な摂取カロリー ÷ フード100gあたりのカロリー × 100 = 一日の食事量

例えば、ドッグフードの100gあたりのカロリーが330kcalだった場合、

281 ÷ 330 = 85.15…

となり、一日の食事量は「85g」です。
これを3回や4回に分けて与えます。

ただしこれも目安であり、定期的な体重測定や愛犬の便の状態を見て調整することが大切です。

・便が柔らかく掴めない …食事量が多い可能性がある
・便がコロコロと硬い  …水分量が少ない、食事量が少ない可能性がある

 

【注意!】おやつやトッピングは一日に必要な摂取カロリーの20%以内にとどめる

ここで算出した食事量は、ドッグフードだけを与えた場合の量です。

おやつやトッピングを与える場合は、一日に必要な摂取カロリーの10%、多くても20%以内のカロリー分にして、そのカロリー分の食事量を減らす必要があります。

体重5kgの避妊・去勢済みの老犬の一日に必要な摂取カロリーは281kcalのため、一日のおやつやトッピングは28〜56kcal分ということになります。

食事量を減らさずにおやつやトッピングを与えると肥満の原因となるため、注意してあげてくださいね。

老犬の食事で注意してあげたいこと

老犬の食事は、食事回数や食事内容、食事量だけでなく、食事環境にも配慮が必要です。
ここでは、老犬の食事で注意してあげたいことを見ていきましょう。

飲み込む力が低下するので食事台を用意してあげる

老犬は飲み込む力が低下するため、食べたものが胃に届くように食事台を用意してあげましょう。

器の高さの理想は、立った状態で首を少しだけ下げた状態で食べられる位置です。

愛犬の肩や胸元あたりの高さに器があるようにしてあげると食べやすいでしょう。

 ■ 器の位置が低い主なリスク
・喉に詰まらせやすい
・吐き戻しやすい
・胃腸に負担がかかる
・踏ん張る姿勢で足腰に負担がかかる
・食べづらい姿勢で食欲が低下する
・余計な空気を吸い込みやすくなり、大型犬では胃捻転*のリスクが高まる など

*胃捻転…なんらかの原因で拡張した胃がねじれ、急激に全身状態が悪化する危険な病気

食事台は飲み込みをサポートしてあげるだけでなく、身体のさまざまな負担を軽減してあげることにも役立ちます。

消化・吸収する力が低下するため、ふやかしたりウェットフードを活用する

老犬は消化・吸収力が低下するため、ドライフードを40℃程度のぬるま湯でふやかしたり、既成のウェットフードなどを上手に活用しましょう。

ふやかしたフードやウェットフードは消化が良く、吸収もしやすくなります。

近年は、より消化吸収率の高いフリーズドライフードやフレッシュフードなどもあるので、愛犬の好みのものを探してあげてくださいね。

人肌程度に温めて口当たりを優しくしてあげる

老犬は、歯周病などの口腔トラブルによって歯や歯肉に痛みを抱えていることも多いです。

冷たいフードや熱いフードは歯にしみるため、人肌程度に温めて口当たりをやさしくしてあげましょう。

また、人肌程度のぬるい温度のものは胃腸への負担が少なく、老犬の食事におすすめです。

老犬が食べないときの対策については以下の記事を参考にしてみてください⇩

 動物介護士が解説|老犬が食べないときに試してほしい8つのこと

 

まとめ

身体は食べ物でつくられています。
基礎的な栄養素を含む食事は、老犬にいつまでも元気にすごしてもらうために欠かせなものです。

犬のシニア期は7歳頃から(大型犬は5歳頃から)といわれていますが、7歳といってもまだまだ若くみえ、老犬という実感は湧きにくいでしょう。

しかし、見えない体の中では老化がはじまっており、それまで以上に食事や栄養素の摂取にも配慮が必要になってきます。

年齢や状態に合わせて食事内容を変えてあげたり、食事回数や食事量など、老犬の負担にならないように考えてあげてくださいね。

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執筆者:高田(動物介護士)

<参考文献>
※日本獣医師会「療法食の適正使用に向けた課題と対応」