老犬の脱水かも?原因・症状と無理なく飲ませる5つの工夫【専門家解説】

老犬になった愛犬が水をあまり飲まなくなり、「脱水してないかな?」と心配になったのではないでしょうか。
水を飲む量が減っただけで元気そうに見えると、動物病院を受診したほうがいいのか判断に迷ってしまいますね。
実は老犬は脱水を起こしやすく、放置してしまうと体調不良や内臓への悪影響などさまざまなリスクが高くなるため、適切に対処してあげることが大切です。
この記事では、高齢の愛犬たちと暮らしていた動物介護士やペットフーディストの私が、老犬が脱水になりやすい理由や見分け方、無理なく水分を摂ってもらう工夫について解説します。
動物病院を受診する目安についてもご紹介しているので、様子を見ていていいのか迷っているという飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
| 執筆者:高田
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【注意!】老犬が“隠れ脱水”になりやすい6つの理由
老犬の脱水は、加齢による体や行動の変化からはっきりとした症状がわかりにくく、飼い主さんが気づかないうちに進行することも少なくありません。
こうした見た目ではわかりにくい脱水状態を、「隠れ脱水」と呼びます。
では、どうして老犬は隠れ脱水になりやすいのでしょうか。
老犬の脱水を防ぐためにも、その理由を知っておきましょう。
喉の渇きを感じにくくなる
喉の渇きは、口や喉だけで感じているわけではありません。
体内の水分量や血液の濃さ(浸透圧)、体液の減少などの変化を脳が感知し、水を飲むように体に指示を出します。
しかし、老犬は、加齢によって、体内の変化を感知する働きが鈍くなったり、その情報を適切な行動につなげる力が弱くなったりします。
そのため、体内の水分が不足し始めていても、喉が乾いたという感覚が起こりにくくなるのです。
体内の水分を蓄える力が弱くなる
犬の体は、体重の60〜70%が水分でできており、水分の多くは筋肉や細胞に蓄えられています。
しかし、老犬は加齢によって筋肉の細胞(筋繊維)が萎縮したり、筋肉を作り出す働きが弱くなるため、筋肉量が徐々に減少していきます。
筋肉量が減ることで、体内に保持できる水分量も少なくなり、若い頃に比べて水分の余裕がなくなってしまうのです。
飲みに行くこと自体が負担になる
老犬が水を飲むためには、寝ている場所から立ち上がり、歩いて水飲み場に行き、首を下げるという動作が必要です。
老犬は関節や筋力の衰え、バランス感覚の低下によって、これらの動作が負担になります。
また、フローリングのような滑りやすい床や段差への不安から、移動そのものを避けるようになることも珍しくありません。
そのため、飲みたくないというわけではなく、飲みに行くのが大変だからあまり水を飲まないということも起きてしまうのです。
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歯や口の中のトラブルで水を避けることがある
老犬では、長年の汚れの蓄積に加え、免疫力や修復力の低下、歯ぐきの衰えなどが重なり、歯周病や歯の欠損、歯肉炎、口内炎などの口腔トラブルが起こりやすくなります。
口の中に痛みや違和感があると、水がしみたり、水が触れる感覚が不快に感じられたりするため、無意識のうちに水を避けてしまうことも少なくありません。
ストレスや不安の影響を受けやすい
老犬は、加齢によって環境の変化に対する適応力が低下し、若い頃よりもストレスや不安の影響を受けやすくなります。
ストレスや不安を感じていると、周囲の刺激に意識が向きやすくなり、安全確認や警戒が優先されます。
そのため、水を飲むといった行動が後回しになってしまうのです。
また、老犬の場合は認知機能の変化も大きく関係してきます。
ストレスによって混乱を生じて一時的に水飲み場の場所を忘れてしまったり、水の前に行ったはいいけど何をしていいかわからなくなる、水のキラキラした反射が怖くなるなどのことも珍しくありません。
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気分のムラやこだわりがある
老犬は、加齢に伴う認知機能の変化や感覚の変化によって、特定の物や環境にこだわりが出ることがあります。
そのため、器が変わると飲まない、置き場所が変わると飲まない、気分が乗らないと飲まない、といったことが起こりやすくなります。
これは性格が変わったというわけではなく、老化に伴う自然な行動変化のひとつです。
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老犬の脱水の危険性

老犬は隠れ脱水を起こしやすいですが、わずかな水分不足でも体に影響が出やすくなります。
ここでは、老犬の脱水の危険性について知っておきましょう。
軽度でも体調不良を引き起こす
脱水は、軽度でも体調不良を引き起こす恐れがある怖いものです。
獣医療では、体重に対して約4〜5%の水分が失われた段階で体調に影響が出始め、8〜10%程度の脱水になると症状がはっきり現れ、10%を超えると緊急性が高いとされています。
脱水が起こると、血液が濃くなって全身の循環が悪くなり、心臓や腎臓、消化器、体温調整など、身体のさまざまな機能に影響が及びます。
特に老犬は、体内の水分を蓄える力や調整力が低下しているため、脱水が急激に進行することも珍しくありません。
そのため、早めに気づいて適切に対処してあげることが大切です。
老犬が1日に必要な水分量の目安
老犬が1日に必要とする水分量の目安は、摂取しなければいけないエネルギー量と同じくらいです。
体重1kgあたり、約50〜70ml程度と考えておくとよいでしょう。
ただ、注意しなければいけないのは、食事内容(ドライかウェットか)や運動量、気温、体調などによって、必要な水分摂取量は異なるということです。
そのため数値だけで判断せず、尿の量や色、元気や食欲などの様子もあわせて確認してあげることが大切です。
老犬の脱水で動物病院を受診したほうがいい症状の目安
脱水は症状に気がついた時点で進行していることも多く、「様子を見てよい」と言える状態はほとんどありません。
以下のような症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
- 元気がなく、寝ている時間が明らかに増えた
- 食欲が落ちている、または食事量が減っている
- 尿の量が少ない、または色が濃い
- 口の中や歯ぐきが乾いている
- 目がくぼんでいるように見える
- 皮膚を軽くつまんでも、すぐに戻りにくい
- 水をほとんど飲まない状態が続いている
- 下痢や嘔吐がある
- 呼吸が荒い、ぐったりして反応が鈍い
- 腎臓病や心臓病などの持病があり、飲水量が変化している など
老犬では脱水の進行が早い一方で、症状が分かりにくいこともあります。
症状が見られなくても、少しでも不安を感じたときは獣医師に相談したほうが安心です。
老犬に無理なく水を飲んでもらう方法
老犬の脱水を防ぐためにも、水を飲んでもらうことが大切ですが、さまざまな理由から思うように水を飲めなくなることがあります。
そのため、老犬の変化に合わせた工夫で、無理なく水を飲んでもらいましょう。
①水飲み場を増やしてあげる
老犬には、水を飲みに行くこと自体が負担になるため、水飲み場を複数用意してあげるのがおすすめです。
普段よく過ごす場所の近くや寝床のそばなど、移動距離が短くてすむ場所に水を置いてあげましょう。
②器に高さをつけてあげる
老犬は首を下げる姿勢がつらくなったり、前脚を踏ん張らせることがつらくなるため、水の器に高さをつけてあげましょう。
愛犬が立った状態で、胸のあたりに器の縁がくる高さが理想です。
老犬の場合は、飲むときに足が震えていないか、首を不自然に曲げていないか、何度も休みながら飲んでいないかなどをチェックしながら、高さを微調整するとよいでしょう。
③食事で水分を摂れるようにしてあげる
水をあまり飲まない老犬では、ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードを取り入れてあげましょう。
ウェットフードは70〜80%が水分です。たとえば、100gウェットフードを食べたら、約70mlの水分も摂れていることになるので、水分摂取の手段としても有効と言えます。
ほかにも、野菜や果物は水分を多く含むため、おやつに取り入れてみてもよいでしょう。
④味や香りを工夫してあげる
水そのものに関心が薄い場合は、お肉の茹で汁や出汁、果物のしぼり汁などを少量混ぜて、味や香りを工夫してあげましょう。
ヨーグルトやヤギミルク、無塩のトマトジュースなどを活用している飼い主さんも多いですよ!
ただし、水の味付けはごく薄くし、糖分や塩分の多いものは避けるようにしてください。
また食物アレルギーがある場合や、はじめての食材を与える際などには事前に動物病院にご確認ください。
⑤水の温度を調整してあげる
老犬は口の中のトラブルを抱えていることも多いため、水の温度を調整してあげましょう。
冷たい水は口の中がしみるだけでなく、内臓を冷やしてしまうことにもつながります。
老犬にとっては刺激が強すぎることもあるので、常温や体温に近いぬるま湯にしてあげたほうが安心です。
| 常温…20~30℃程度
体温に近いぬるま湯…35~38℃程度 |
愛犬の好みや季節に合わせて調整してあげてくださいね。
まとめ
老犬は、加齢による体や行動の変化によって、気づかないうちに脱水を起こしやすくなります。
脱水は軽度でも体調不良につながりやすく、老犬では急激に進行してしまうこともあるため、水を飲んでもらうことが大切です。
今回ご紹介した方法を組み合わせ、老犬の負担が少ない形で水分摂取をサポートしてあげましょう。
また、少しでも気になる変化があるときは、自己判断で様子見をするのではなく、早めに動物病院を受診してくださいね。
