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老犬の聴覚はトレーニングできる?聴覚が低下した犬との接し方と教え方

目次

老犬の聴覚はトレーニングできる?聴覚が低下した犬との接し方と教え方

老犬になると、これまで普通にできていたことが上手くできなくなってくることもありますね。

名前を呼んでも振り向いてくれない、物音に反応しない、触ると驚く、なんてことも見られるのではないでしょうか。

老犬の聴覚の低下は加齢に伴う自然な変化のひとつですが、愛犬に「褒められている」「愛されている」という感覚を伝え続けたいですよね。

また、日常生活や散歩中での事故やトラブルを未然に防ぐためにも、聴覚をトレーニングしてあげたいと思うこともあるでしょう。

そこでこの記事では、4匹の高齢愛犬たちと暮らしていた動物介護士の私が、老犬の聴覚トレーニングや聴覚が低下した犬との接し方について解説します。

 執筆者:高田

【保有資格】
動物介護士、CPD認定 Canine Cognitive Dysfunction(CCD) 修了、ホリスティックケア・カウンセラー ほか


老犬の聴覚はトレーニングできる?方法を変えれば可能

結論から言ってしまうと、聴覚をトレーニングして老犬の聴力そのものを回復させることはできません。

加齢の聴覚低下は自然な老化現象であり、失われた聴力を元に戻す方法は今のところないのです。

しかし、方法を変えることで、指示を理解しやすくするトレーニングは可能です。

犬は高齢になっても学習能力が完全に失われるわけではなく、時間はかかりますが新しい合図や行動を覚えることができます。

そのため、呼び声の代わりに別の感覚を使ってコミュニケーションを取れるようにするのが、老犬の聴覚トレーニングです。


そもそも老犬の聴覚はなぜ低下する?音を正確に識別しにくくなるから

老犬の聴覚が低下するのは、加齢によって音を正確に識別しにくくなり、聞こえていても意味のある情報として判断できなくなるからです。

このような加齢に伴う聴力の低下は「加齢性難聴(老年性難聴)」と呼ばれ、犬でも一般的にみられる変化の一つです。

耳の奥(内耳)では、音の振動を感じ取って神経信号に変える働きがありますが、年齢とともにこの機能が徐々に弱くなります。

さらに、音の情報を脳へ伝える聴神経や、届いた音を「何の音か」「どの方向から来たか」と判断する脳の処理機能も低下します。

こうした変化が重なることで、音は耳に届いていても脳が内容をうまく判断できなくなり、呼びかけに気づかない、反応が遅れるといった様子が見られることも少なくありません。

加齢性難聴では、中〜高い音を最初に認識しにくくなる傾向にあります。

犬の名前や人の呼び声は比較的高い音域なので、その影響を受けやすいのです。

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老犬に聴覚トレーニングが必要になる理由

聴覚が低下すると音から得られていた情報が減るため、周りの状況を把握することが難しくなります。

そのため、人間が思っている以上に老犬にはさまざまなリスクがあります。

ここでは、老犬に聴覚トレーニングが必要な理由を理解しておきましょう。


事故のリスクが高まるから

老犬の聴覚が低下すると、事故のリスクが高まります。

特に散歩中は、以下のようなことが起こることも珍しくありません。

  • 危険を避けるための合図が伝わらない
  • 後方から近づく自転車や人の気配に気づきにくい
  • 驚いて急に動いたり立ち止まったりする など

このような状況では、思わぬ事故につながる恐れがあるため、音以外の合図を理解できるようにしておくと安心です。


不安を感じやすくなるから

もともと犬は飼い主とのやり取りに安心感を覚えますが、聞こえにくくなることで飼い主が近くにいることに気づきにくくなったり、声をかけてもらえることが減ったように感じやすくなります。

それによって不安が強まり、落ち着かなくなってしまうことも少なくありません。

不安やストレスが続く状態は体への負担となり、食欲低下や体調不良につながってしまうこともあるため注意が必要です。

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老犬の聴覚トレーニングの方法

ここでは、老犬の聴覚トレーニングの方法を見ていきましょう。


視覚を使ったトレーニング(ハンドシグナル)

聴覚が低下した老犬の基本となるのが、視覚を使ったトレーニングです。

手の動きを一定の合図として固定して、「おいで」「待て」「よし」「ごはん」などの意味を持たせます。

教え方は、「合図 → 誘導 → 行動できたらすぐ褒める(ご褒美)」の順で行います。

ただし、老犬が合図をちゃんと見分けられるよう、似たような動作は避けることが大切です。

動作は毎回同じにし、老犬では動きを大きく、ゆっくり見せてあげましょう。


嗅覚を使ったトレーニング

老犬でも嗅覚は比較的保たれやすい感覚のため、匂いそのものを合図として覚えさせてもいいでしょう。

特定の香りと出来事を結びつけることで、老犬が次に何が起こるかを理解しやすくなります。

たとえば、毎回同じ匂い(フードや飼い主の匂いがついた布など)を嗅がせたあとにごはんを与える、散歩の前に同じ匂いを嗅がせてからリードを付ける、というふうに「この匂い=これから起きる行動」と関連付けていきます。

嗅覚を使ったトレーニングは、夜間や視覚の衰えがある場合でも活用できるのがポイントです。

ただし、強い香りは避け、毎回同じ匂いを一貫して使うようにしましょう。

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振動を使ったトレーニング

聴覚が低下した老犬は、振動を使ったトレーニングも有効です。

音の代わりに床や家具を通して伝わるわずかな振動を利用することで、離れた場所からでも飼い主の存在を知らせることができます。

教え方は、床を軽く踏む、テーブルを軽く叩くなどして振動を伝え、注意を向けさせます。

最初は振動のあとに視線が合ったタイミングですぐ褒めたりご褒美を与え、「振動のあとに飼い主を見ると良いことがある」と関連付けていくといいでしょう。

こうして「振動が来たら飼い主を見る」という習慣ができると、離れた場所からでも呼びかけの合図を送れるようになりますよ。


触覚を使ったトレーニング

聴覚が低下した老犬には、触れられることに慣らしておくことも大切です。

聞こえにくい状態では、人が近づいたことに気づきにくく、突然触れられると驚いてしまうことも珍しくありません。

肩や胸をやさしく一定の触り方で撫で、触れられても驚かないよう少しずつ慣らしていきましょう。

ただし、老犬が眠っているときにいきなり触るのは避けてください。触れられた瞬間に驚いて、反射的に噛んでしまうこともあります。

触れる前に、軽く振動で存在を知らせてあげてくださいね。


老犬の聴覚トレーニングを成功させる4つのポイント

聴覚トレーニングは、老犬にとって新しい合図を覚える作業です。そのため、進め方を間違えると、老犬の混乱やストレスにつながってしまいます。

ここでは、老犬の聴覚トレーニングを成功させる4つのポイントを見ていきましょう。


①短時間で終わらせる

老犬の体にかかる負担を考え、短時間で終わらせるようにしましょう。

老犬は集中力が切れやすく、疲れると学習効率も落ちてしまいます。

1回あたり数分程度を目安にし、回数を分けて繰り返すほうがスムーズにトレーニングを行えます。


②同じ合図を徹底する

手の動きや振動の与え方、匂いの種類など、使う合図は毎回同じにしてください。

合図が同じではないと、覚えるのが難しくなったり、混乱を招いてしまいます。

家族がいる場合は、事前に使う合図を決めて共有し、途中で変えないことが大切です。


③失敗を叱らない

老犬の失敗を叱らないようにしましょう。聴覚が低下して聞こえにくくなっている老犬は、合図に反応できないことも珍しくありません。

ここで叱ると、飼い主や合図自体を避けるようになり、トレーニングも進まなくなってしまうでしょう。

反応しなかった場合は叱るのではなく、距離を近づけたり環境を静かにする、動きを大きくするなど、老犬が理解しやすいようにしてあげることが大切です。


④焦らずじっくり取り組む

老犬のトレーニングは、焦らずにじっくりと取り組みましょう。

老犬は、覚えるまでに時間がかかることも珍しくありません。また、できる日とできない日があるのもよくあることです。

少しでもできたらその場で褒めてあげてくださいね。


聴覚が低下した老犬との接し方

聴覚が低下した老犬と接するうえで大切なのは、突然の刺激を与えないことです。

驚かせてしまうことは、不安や防御反応にもつながってしまいます。

【気をつけてあげたい接し方】

  • 必ず老犬の視界に入ってから触れる
  • 眠っているときにいきなり触れない
  • 生活の動作や環境を急に変えない など

老犬に安心して過ごしてもらうためにも、予測しやすい関わり方をすることが大切です。

また、聴覚が低下した老犬は飼い主の声が聞こえにくくなっているため、笑顔で接することも意識してあげましょう。

 

まとめ

老犬の聴覚が低下することは、年齢を重ねれば誰にでも起こり得る自然な変化で、特別なことではありません。

だからこそ、伝え方を変え、これまでと同じようにコミュニケーションを取れるようにしてあげることが大切です。

ただし、急に聞こえなくなったり片側だけ反応がない、ふらつきや耳を気にする様子があるといった場合は病気の可能性があるため、まずは早めに動物病院を受診してくださいね。

 

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