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動物介護士が解説|老犬がぐるぐる回るときはどうしたらいい?止めるのはダメ!

目次

愛犬が老犬になり、排泄前や寝る前でもないのに室内をぐるぐる回っていると「あれ?」と思いますね。

実際、私の高齢の愛犬が右回りでずっとぐるぐる回っている様子がみられるようになった時は、心配で動物病院を受診しました。

老犬がぐるぐる回るようになった時は、認知症や他の病気の可能性があるため、注意が必要です。

また、ぐるぐる回っているときに注意してあげなければいけないこともあります。

今回は、認知症の愛犬と暮らしていた動物介護士の私が、老犬がぐるぐる回るときに考えられる病気や注意点について解説します。

 ■ 執筆者の保有資格
動物介護士、ペットフーディスト、ホリスティックケアカウンセラー 他

 

ぐるぐる回る老犬が少しでも快適に過ごせるよう、ぜひ参考にしてください。

老犬がぐるぐる回るときに考えられる病気は?回る方向も要チェック!

そもそも犬は、寝る前や排泄前、お尻の不快感、自分のしっぽを追いかけるときなど、健康であってもぐるぐる回ることはあります。

いつも決まった状況でみられ、短時間であれば心配することはありません。

しかし、何もないのにぐるぐる回る場合は病気の可能性があるため注意が必要です。
ここでは、ぐるぐる回るときに考えられる病気を解説します。

ぐるぐる回るときに考えられる病気

老犬がぐるぐる回るときは、主に以下の病気が考えられます。

 ■ 老犬がぐるぐる回るときに考えられる病気
・認知症(認知機能低下症、認知機能障害、認知機能不全などともいわれる)
・脳神経の異常・病気
…前庭疾患、てんかん、脳炎、脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、水頭症 など
・耳の病気
…中耳炎、内耳炎 など
・目の病気
…白内障、緑内障、網膜剥離、進行性網膜萎縮症 など

とても大切なことなので、もう少し詳しく見ていきましょう。

認知症

老犬がぐるぐる回るときに、考えられる病気のひとつに認知症があります。
(認知症は、認知機能低下症、認知機能障害、認知機能不全ともいわれますが、ここでは分かりやすく「認知症」と呼びます)

なぜ認知症でぐるぐる回ってしまうかは、はっきりとわかっていません。

ただ、認知症になると記憶障害や見当識障害が起こり、不安や焦燥感があるのではないかと考えられています。

また、人間の認知症の周辺症状のひとつに「多動(動き回る)」というものがあり、ジッとしていられないということも関係あるのかもしれません。

犬の認知症は10歳を超えた頃から発症し、1歳年を重ねるごとに認知症のリスクが52%増えるという報告(※)もあるため、認知症である可能性も考えておく必要があるでしょう。

犬の認知症の症状については、以下の記事で詳しく解説しています。

 動物介護士が解説|犬の認知症の症状は?予防や対策方法

 

脳神経の異常・病気

前庭疾患やてんかん、脳炎、脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、水頭症などの脳神経の異常や病気によってぐるぐる回る=旋回運動を起こすことがあります。

脳神経の信号の乱れや機能不全、機能混乱などによって、ぐるぐる回ってしまうのです。

前庭疾患では平衡感覚が失われてしまうため、まっすぐ歩きたいのに自分の意思に反してぐるぐる回る行動が起きます。

これらの病気では回ってしまう方向に首を傾けていたり、眼振があることも多いため、愛犬をよく観察することが大切です。

耳の病気

中耳炎や内耳炎によって平衡感覚に異常が起こり、ぐるぐる回ることもあります。

中耳炎や内耳炎が原因で前庭疾患が起こる場合もあり、外耳炎になったときに適切に治療を行って悪化させないことが大切です。

目の病気

白内障や緑内障、網膜剥離、進行性網膜萎縮症など、直接的に関係はしないものの、痛みや視力低下などの混乱によって老犬をぐるぐる回らせてしまうこともあります。

老犬になると白内障になりやすくなりますが、ちゃんと炎症を抑える治療を行わなけば緑内障やぶどう膜炎、網膜剥離といった合併症を引き起こしてしまう可能性が高まります。

白内障だけなら痛みはなく見えにくくなる程度ですが、緑内障や網膜剥離などは激しい痛みを伴うため、適切な治療を受けさせてあげましょう。

老犬がいつもと違う方向でぐるぐる回るときは要注意

老犬がぐるぐる回る方向は、癖や好みでどちらか一方であることが多いです。
ちなみに認知症の愛犬はいつも右回り(時計回り)でした。

もちろん、癖や好みに関係なく病気の影響で左右どちらか一方にぐるぐる回ってしまうこともありますが、普段どちらにぐるぐる回るか観察しておくと良いでしょう。

老犬が急にいつもと違う方向でぐるぐる回るようであれば、何らかの異変が起きている可能性があります。

少し前までは、右回りなら問題ないが左回りなら脳腫瘍や前庭疾患などと言われていましたが、回る方向はどこの機能に異常が起きているかでも異なります。

右回りだから大丈夫と自己判断せずに、獣医師にご相談することをおすすめします。

老犬がウロウロと歩き回るときも注意

老犬が部屋の中をウロウロと歩き回るときも、体調不良やさまざまな病気の可能性があるので注意が必要です。

認知症による徘徊だけでなく、不安やストレス、痛み、てんかん発作後、脳疾患やホルモン疾患など、早期に治療が必要な病気も多いです。

肺炎や肺水腫などで息がちゃんとできずに苦しくてウロウロ歩き回るということもあるため、ウロウロと歩き回るときも早めに動物病院を受診しましょう。

老犬の徘徊については、以下の記事を参考にしてみてください。

 動物介護士が解説|老犬が徘徊する理由は?考えられる原因や対策法

 

老犬がぐるぐる回るときの注意点は?無理に止めるのはダメ!

老犬にずっとぐるぐる回る様子がみられると、止めてあげたほうが良いのではないかと思うこともあるでしょう。

実際に、私の愛犬は一日中寝ずにぐるぐる回ることがあり、フラフラになりながらもぐるぐる回っていて何とか休ませてあげたいと思いました。

しかし、基本的には無理に止めることがストレスとなるため、思う存分ぐるぐる回らせてあげましょう。

ただ、老犬がぐるぐる回るときは注意してあげなければいけないこともあります。
ここでは、注意点をみていきましょう。

注意点① 動物病院を受診する

老犬がぐるぐる回るようになったときは、まずは動物病院を受診しましょう。

何が原因でぐるぐる回るのかは、飼い主さんが判断できるものではなく、獣医師の診察を受けなければわかりません。

動物病院を受診する際は、愛犬の徘徊の様子を動画に撮っておくことで獣医師の診断のサポートになり、より状態を把握してもらいやすくなるでしょう。

また、原因がわかっても、私の愛犬のように一睡もせず寝ずにぐるぐる回り続けるときや、何時間も激しくぐるぐる回るときも早めに動物病院を受診することを強くおすすめします。

老犬は体力の消耗によって衰弱を招いたり持病の進行を早めてしまうため、獣医師からぐるぐる回ることを止めさせる薬やサプリメントなどを提案してもらえます。

ただし薬には副作用があるため、安易に使用することはできません。
処方された薬は獣医師の指示を守り、適切に使用しましょう。

老犬が夜寝ないときの原因や対処法については、以下の記事を参考にしてみてください。

 動物介護士が解説|老犬が夜寝ないけど大丈夫?原因と対処法

 

注意点② 安全を確保する

老犬がぐるぐる回るときは、何かにぶつかってケガをしたり、転んだりしても大丈夫なように安全を確保してあげましょう。

家具などの角やテーブル・椅子などの脚に赤ちゃん用のコーナーガードやクッション材で保護してあげたり、ぶつかった衝撃で落ちてきそうなものは移動させると安心です。

筋力がある老犬なら、勢いよくぐるぐる回ることもあります。
床も滑りにくいようにコルクマットやタイルカーペット、犬用クッションフロアなどを敷いてあげるといいでしょう。

この際、毛足の長いものやループ状のものは爪に引っかかってしまう恐れがあるため、できるだけ引っかかりにくいものを選ぶのがおすすめです。

注意点③ 絶対に叱らない

老犬がぐるぐる回るのは、病気が原因の場合や何らかの目的・意味があって行っているものなので絶対に叱らないようにしましょう。
叱られることでますます不安が強くなり、ぐるぐる回ることが止められなくなってしまうケースがあります。

ぐるぐる回る姿が心配で、どうにか止めさせたいとイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、穏やかな気持ちで見守ってあげることが大切です。

 

老犬がぐるぐる回るときにできるサポート3つ

老犬がぐるぐる回るのはある意味仕方がないことで、基本的にはケガをしないように十分に注意すれば、そのまま好きなようにさせてあげていいとされています。

しかし、他にもできるサポートはたくさんあります。
ここでは、老犬がぐるぐる回るときに飼い主さんができるサポートについて見ていきましょう。

①ソフトサークルなどで行動範囲を決めてあげる

老犬がぐるぐる回るときは、六角形やハ角形のソフトサークルや円形のビニールプールなどで、行動範囲を決めてあげましょう。

四角形は角にはまって動けなくなってしまうので形に配慮は必要ですが、行動範囲が決まっていればケガなどのリスクが低くなり安心です。

また柔らかい素材のほうが、ぶつかったり、ぶつかった勢いでサークルと一緒に転倒してしまったときもケガをする可能性が少ないといえます。

ただし、周りが囲われていることでパニックを起こしてしまう老犬もいます。
その場合は無理にサークルに入ってもらうことのほうが危険なので、部屋の中の安全対策を徹底してあげましょう。

車イスを使用している老犬では、ポール台と棒を使って使ってぐるぐる回る範囲を決めてあげることをおすすめします。

SNSなどで「ぐるぐる歩行器」「グル活システム」「クルクルマシーン」と検索すればどういうものか見ることができますよ!

②生活リズムを整えてあげる

老犬がぐるぐる回るようになっても、それまでと同じ散歩や遊び、食事などの時間で行ってあげましょう。

老犬は睡眠時間が多く必要なので、日中に寝ている時間が増えるのは自然なことですが、日中に寝すぎてしまうと夜に寝れなくなってぐるぐる回る行動が起こることもあります。

気持良さそうに寝ているときは無理に起こす必要はありませんが、日光浴をさせてあげたり食事の時間は起こすなど、ある程度生活リズムを整えてあげることは大切です。

日光浴には狂ってしまった体内時計をリセットしたり質の良い睡眠への誘導など、さまざまなメリットがあるので、一日15〜30分くらいを目安に行うことをおすすめします。

老犬が寝てばかりいる場合は、以下の記事を参考にしてみてください。

 動物介護士が解説|老犬が寝てばかりいるのは病気?注意点や気をつけてあげたいこと

 

③脳ケアサプリメントで脳に必要な栄養を補ってあげる

老犬がぐるぐる回ることを直接止めるサプリメントはありませんが、脳に必要な栄養を補ってあげることでぐるぐる回る行動を軽減できる可能性はあります。

特に認知症でぐるぐる回る場合、犬の認知症は老化によって脳細胞に栄養がきちんと行き渡らなくなったり、活性酸素による酸化ストレスなどで脳の神経細胞が破壊されてしまうことで起こっているケースがあります。
そのため、脳細胞を健康に保ったり酸化から体を守る成分が配合されたサプリメントでサポートしてあげるといいでしょう。

 ■ 脳ケアにおすすめの成分
・ポリフェノール(アントシアニン、グネチンCなど)
・神経栄養因子様化合物(バングレン
・カロテノイド(アスタキサンチン、ルテイン、β‐カロテンなど)
・DHA
・ビタミンA、C、E など

 

老犬の体質に合う合わないはありますが、私が愛犬にさまざまなサプリメントを試してきて、上記の中でもグネチンCバングレンの配合されたサプリメントが特に良かったです。

グネチンCもバングレンも近年注目されている成分ですが、バングレンは脳の神経幹細胞に働きかけて神経細胞の新生(分化)を促し、新規細胞の成長や維持に深く関与すると考えられている神経栄養因子のような働きをすることがさまざまな試験から明らかになった成分です。

実際、薬で強制的にぐるぐる回ることを止めさせる必要があると判断された愛犬にこれらの成分が含まれたサプリメントを与えたところ、良い状態で維持できて薬も飲ませなくて済みました。

愛犬の体質にあったサプリメントを見つけることができれば、ぐるぐる回る老犬のサポートにも役立ってくれるでしょう。

また、サプリメントにはさまざまなものが販売されていますが、なかには成分含有量がわずかなものや有用性が心配なものもあるため、動物病院で販売されている製品を選ぶことをおすすめします。

老犬の食事については、以下の記事も参考にしてみてください。

 専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ

 

まとめ

老犬がぐるぐる回るときは病気が原因であることが多く、止めることはできません。
病気の治療はもちろん、いかに安全にぐるぐる回らせてあげられるかが大切です。

ただし、飼い主さんができるサポートもたくさんあります。
おひとりで抱え込まず、獣医師に相談しながら愛犬の病気やぐるぐる回る行動に上手に付き合っていきましょう。

これまでずっとそばにいてくれた愛犬に感謝の気持ちを込め、快適に過ごせるようにしてあげたいものですね。


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<参考文献>
※:scientific reports「Evaluation of cognitive function in the Dog Aging Project: associations with baseline canine characteristics