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動物介護士が解説|犬の目が見えない?視力低下のサインやリスクと対処法

目次

犬と暮らしていると、もしかして目が見えないのかな?と思うことがあるでしょう。

犬はもともと視力が弱いことに加え、目が見えない状態でも嗅覚や聴覚でカバーできるため生活への支障は少ないといわれています。

そのため、愛犬の目が低下していたり見えていないことにすぐに気づかない飼い主さんも少なくありません。

たしかに、犬は人間のように視力に頼った生活はしていませんが、目が見えないことで生活の質が下がったり、認知症のリスクを高めることになるため、しっかり対策をしてあげることが大切です。

そこで今回は、犬の視力低下のサインや原因、リスクと対処法について解説します。

【執筆者保有資格】
動物介護士、ペットフーディスト、犬の管理栄養士 他


もしかして目が見えない?犬の視力低下のサイン

犬は言葉を話すことができないため、目が見えているのか見えていないのかを聞くことができません。

「目が見えないのかも?」と思ったら、以下のような行動がないか確認しましょう。

 ・物によくぶつかる

・段差や階段を怖がる
・ボールなどを追いかけられない
・ご飯の器の位置がわからない
・ご飯を落としても見つけられない
・暗い場所での行動が不安定
・夜の散歩を嫌がる
・明るい場所に行きたがらない
・呼びかけに反応しにくい
・アイコンタクトがうまく取れない
・目が白く濁っている など

上記のような症状がみられる場合は、早めに獣医師にご相談ください。

視力が低下する初期段階では、些細な変化が多く気づきにくいこともあります。
見逃さないように、注意深く観察することが大切です。

犬の目が見えないときに考えられる主な原因4つ

犬の視力低下や目が見えなくなる(失明)原因はさまざまです。

治療が必要な場合もあるため、自己判断せずに動物病院を受診しましょう。

加齢によるもの

加齢によって視力が低下することは自然なことで、こればかりは避けられません。

目が白っぽく見えることもありますが、これは加齢に伴い水晶体の中心部が硬くなり、光の屈折によって白く見える「核硬化症」で、核硬化症が視力に影響を与えることはほとんどありません。

ただし、白内障との区別は難しく、動物病院での検査が必要です。

また、核硬化症から白内障を併発することもあるので、老化なら仕方がないと油断するのも危険です。

実際、私の高齢の愛犬は15歳頃から核硬化症を発症しましたが、17歳あたりから白内障となり度々見えにくそうな様子でした。

病気によるもの

白内障や緑内障、網膜疾患など、目の病気が原因のこともあります。

特に白内障は加齢に伴って発症することが多く、水晶体が白く濁ることで視界がぼやけたり、見えなくなったりします。

一方、緑内障は眼圧の上昇によって視神経が障害を受け、急激に視力が低下するケースも珍しくありません。
緑内障は痛みを伴うこともあり、早急な治療が必要です。

また、糖尿病によって白内障や糖尿病性網膜症が引き起こされ、失明してしまうこともあります。

外傷によるもの

目への強い衝撃や事故などが原因で、目が見えなくなることもあります。

例えば、家具の角にぶつかったり、高所からの落下で頭部を打ったりした場合、眼球や視神経を損傷している可能性もあるため注意が必要です。

外傷による視力障害は回復が難しいということはもちろん、脳など目に見えない部位にダメージを受けている可能性もあるため、ケガのあとは注意深く様子を見て、異常があればすぐに動物病院を受診しましょう。

遺伝によるもの

ミニチュアダックスフンド、シーズー、トイプードル、ラブラドールレトリーバーなどは、「進行性網膜萎縮症(PRA)」を発症しやすいことが知られています。

成長とともに少しずつ症状が進行し、最終的には失明するため、定期的な健康診断で早期発見を心がけることが大切です。


目が見えない犬が抱えるリスク

犬が生活を送るうえで、目が見えなくてもほとんど支障はないとされていますが、目が見えないことで生活上のリスクが増えることは事実です。

特にシニア期の犬にとっては、ちょっとした段差や環境の変化が大きな負担になることもあります。

ここでは、目が見えないことで起こりうる代表的なリスクについて解説します。

ケガや事故の危険が高まる

目が見えないことで、家具や壁にぶつかったり、段差に気づかずに転倒したりする危険が増すことは否定できません。

屋外では、車や自転車との接触事故のリスクもあるため、散歩中はより慎重なサポートが必要です。

また、普段の生活環境においても、尖った家具の角や滑りやすい床などがケガの原因になることもあり、室内の安全対策が欠かせません。

認知症のリスクが高まる

視覚は、脳を刺激する重要な感覚のひとつです。
目が見えなくなると脳への刺激が減り、その結果として認知機能が低下しやすくなると考えられています。

特にシニア犬では視力の低下がきっかけで生活範囲が狭まり、運動量も減ることでさらに認知症の発症リスクが高まります。

声かけや触れ合い、嗅覚や聴覚を刺激する遊びを取り入れることが大切です。

犬の認知症については、以下の記事もチェックしてみてくださいね⇩

 動物介護士が解説|犬の認知症の症状は?予防や対策方法
 動物介護士が解説|犬の認知症を治すことはできる?治療法やできるサポート


目が見えない犬への対処法

愛犬の視力が低下したり、目が見えていないときには、どんな対処をしてあげたら良いのでしょうか。

ここでは、目が見えない犬への具体的なサポート方法を見ていきましょう。

動物病院を定期的に受診する

愛犬の目が見えていないのかも?と感じたら、まずは動物病院を受診しましょう。

視力を完全に失っているのか、まだ見えている部分があるのかなど、進行の度合いによって対処法は異なります。

また、加齢や病気が原因の場合は、進行を遅らせる治療が可能なこともあります。
早期に発見して適切に対処してあげることで、犬の生活の質を保ちやすくなるでしょう。

安全な環境を整えてあげる

目が見えない犬にとって、生活環境は何より重要です。

家具の配置を変えないようにし、ぶつかってケガをしないように障害物を取り除いて、身の周りの安全を確保してあげましょう。

また、滑りやすいフローリングにはカーペットやマットを敷いてあげると、安心して歩くことができるのはもちろん、足腰への負担の軽減にもなります。

聴覚・嗅覚を活かしたサポートをしてあげる

目が見えない犬は視覚以外の感覚を頼りにしていることを念頭に置き、音やにおいを活かしたサポートをしてあげましょう。

体を触るときは優しく声をかけてから触ったり、急に大きな声を出すなどして驚かせないように配慮してあげることも大切です。

また、食器や寝床などの場所には、においのついたグッズを置いて目印にしたり、音の鳴るおもちゃを使って誘導してあげるのも良いでしょう。

散歩は安全を第一に考えてあげる

散歩に出るときはリードを短めに持ち、障害物や段差の前では声をかけて注意を促してあげましょう。

いつもと違う道ではなく、愛犬が慣れているルートを選ぶと安心感を持ちやすくなります。

また、人や犬に急に近づかれると驚いてパニックになることもあるため、周囲の様子にも気を配ることが大切です。

認知症対策にサプリメントを活用する

人間の場合でも、目や耳が不自由になることで認知症のリスクが高まることが分かっています。
目が見えないことで脳への刺激が減ってしまうため、犬でも同じように認知症のリスクが高まります。

認知機能の健康を維持してあげるためにも、脳に必要な栄養を効率よく補えるサプリメントを活用しましょう。

 ■ 認知機能の健康維持におすすめの成分

・神経栄養因子様化合物(バングレン
・ポリフェノール(アントシアニン、グネチンCなど)
・カロテノイド(アスタキサンチン、ルテイン、β‐カロテンなど)
・オメガ3脂肪酸(DHA、α-リノレン酸など)
・ビタミンA、C、E など

犬の認知症対策のサプリメントはたくさん販売されていますが、せっかく飲んでもらうのですから動物病院での取扱いがあるようなエビデンスがあるものをおすすめします。

特にバングレンという成分は、最近の研究で血液脳関門を通過し、脳の神経細胞にまで届くことが分かりました。

アンチエイジング系のサプリメントで今まであまり効果を実感できなかった方は、ぜひ一度試してみてくださいね。

目が見えない犬によくあるQ&A

ここでは、犬の目が見えないときに疑問に思うことを解決します。

Q1.目が見えなくなったら散歩はしないほうがいい?

A.犬の目が見えない状態でも、これまで通り散歩は行いましょう。

外の世界の音や匂いなどは脳に適度な刺激を与えてくれるため、ストレス解消や認知機能の健康維持にも役立ちます。

いつもと同じコースを選び、時間は短めになっても継続することが大切です。

老犬の散歩については以下の記事をご覧くださいね⇩

 動物介護士が解説|老犬が散歩を嫌がるときはどうする?回数や時間の目安も

Q2.他の犬や子どもと接触させるのは危険?

A. 視力のない犬は突然の接触に驚きやすいので、慣れるまでは距離を取りましょう。

相手にも事情を説明し、静かに近づいてもらうと安心です。

 

まとめ

愛犬の目が見えないのではないかと感じたら、まずは早めに動物病院を受診しましょう。

犬は視力に頼らず生活できると言われていますが、ケガなどのリスクを減らしてあげるためにも環境の見直しや安全への配慮、日々のサポートは欠かせません。

また、犬も目が見えないことで不安になったりすることもあります。

何よりも大切なのは、飼い主さんがそばで見守り、安心を与えてあげること。愛犬が穏やかに過ごせるよう、やさしく寄り添ってあげてくださいね。

 

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執筆者:高田(動物介護士)