専門家が解説|老犬に美味しく食べてもらうドッグフードのふやかし方

老犬になると、それまで食べていたカリカリのドッグフードを食べづらそうにしていたり、食べなくなってしまうことがありますね。
ご飯をしっかり食べてもらうことは、老犬の健康を保つためにも大切なことです。
だからこそ「食べやすくしてあげたい」と、ドッグフードをふやかすことを考えたのではないでしょうか。
そこで今回は、高齢の愛犬たちと暮らしていた動物介護士・ペットフーディストの私が、老犬に美味しく食べてもらえるドッグフードのふやかし方をご紹介します。
お湯の量や温度、電子レンジでふやかす方法など、すぐに実践できる内容になっているのでぜひ参考にしてください。
| 【執筆者保有資格】 動物介護士、ペットフーディスト、犬の管理栄養士 他 |
老犬のドッグフードをふやかすメリット

老犬がカリカリのドッグフード(=ドライフード)を食べづらそうにしているときは、ふやかすことで食べやすくなるだけでなく、他にもさまざまなメリットがあります。
あらかじめメリットを知っておくことで、「ふやかすのが面倒」と感じることもなくなるでしょう。
ここでは、老犬の健康や食欲をサポートするために知っておきたい、ドッグフードをふやかすメリットをご紹介します。
水分補給に役立つ
ふやかしたドッグフードは水分をたっぷり含むため、老犬の水分補給にも役立ちます。
老犬になると感覚が鈍くなり、喉の渇きを感じにくくなるほか、加齢による筋肉量の減少や腎機能の低下などによって体内の水分量が失われやすく、脱水のリスクが高まります。
そのため、食事から水分が摂れるふやかしたドッグフードは、あまり水を飲まない老犬にもぴったりなのです。
噛む力・飲み込む力が弱っても食べやすい
ドッグフードはふやかすことで柔らかくなるため、噛む力や飲み込む力が弱る老犬でも食べやすくなります。
老犬になると歯が抜けてうまく噛めなくなったり、あごの筋力が落ちて硬いものが負担になってしまうことがあります。
また、舌や喉の筋肉も衰えてくるため、食べた物をスムーズに飲み込めず、ムセてしまったり食欲低下につながることもあるのです。
ふやかして食べやすくしてあげることで、老犬も食事を楽しめるようになるでしょう。
老犬がごはんを食べないときの対処法は、以下の記事をご覧ください⇩
| 動物介護士が解説|老犬が食べないときに試してほしい8つのこと |
消化しやすくお腹にかかる負担が軽減できる
ふやかしたドッグフードは水分を含んで柔らかくなることで、胃や腸での消化がしやすくなります。
老犬は消化機能も年齢とともに衰え、食べた物をうまく消化・吸収できずに下痢や嘔吐を引き起こしてしまうことがあります。
ふやかすことでドッグフードの粒が崩れやすくなり、消化器への負担が軽減されるのです。
消化とも関係がある老犬の食事回数については、以下の記事で詳しく解説しています⇩
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専門家が解説|老犬の食事回数や食事内容は?食事量や注意点も |
香りが立ちやすくなり、食欲アップが期待できる
ドッグフードをぬるま湯でふやかすと香りが立ちやすくなり、老犬の食欲アップが期待できます。
老犬は嗅覚が衰えることで食への関心が薄れ、食欲が落ちやすくなります。
犬はもともとニオイで食欲が刺激されるため、ふやかすことで香りが強調され「食べたい」という気持ちを引き出しやすくなるのです。
「水分」と「温度」が香りの立ちやすさに大きく関係するので、ふやかしたドッグフードは食欲が落ちた老犬でも食べてくれやすくなりますよ。
老犬のドッグフードの選び方は、以下の記事をチェックしてみてくださいね⇩
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専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ |
老犬に美味しく食べてもらう正しいドッグフードのふやかし方

ドッグフードをふやかす方法は、難しいものではありません。
しかし、正しくふやかさなければ美味しさも栄養も損なわれてしまうため、しっかり基本を覚えておきましょう。
【基本】ぬるま湯でふやかす方法
- 愛犬の1食分のドッグフードを器に入れる
- 30~40℃のぬるま湯をドッグフードが隠れるくらいまで入れる
- ラップをして10~20分ほど放置する
- 必要であれば指やスプーンなどで潰して完成
ドッグフードやフード量、愛犬の食感の好みによってふやかす時間の調整は必要ですが、ぬるま湯を入れて放置するだけです。
さらに早くふやかしたい場合は、あらかじめフードを砕いたりより小さい粒のフードを使用するとふやけやすくなります。
お湯の量に決まりはありませんが、あまりたくさん入れ過ぎるとかさが増えてしまい、老犬が食べるのが大変になってしまうので注意しましょう。
なお、ウェットフードと同じくらいの水分量にしたい場合は、ドッグフードの量の2.5倍のぬるま湯を入れてください。(フード量が25gならお湯の量は63ml)
また、放置するとぬるま湯は冷めてしまうため、与えるときは500Wの電子レンジで10秒程度温めると香りが立っておすすめです。
電子レンジでふやかす方法
- 愛犬の1食分のドッグフードを耐熱容器に入れる
- 水をドッグフードが隠れるくらいまで入れる
- ラップをして電子レンジに入れ、500Wで20秒弱温める
- そのまま5分程度放置する
- 必要であれば指やスプーンなどで潰して完成
基本のふやかし方と同様に、ドッグフードやフード量、愛犬の食感の好みによってふやかす時間は調整しましょう。
ただ、電子レンジを使用する場合、30秒以上温めるとかなり熱くなります。
熱すぎると栄養が損なわれるだけでなく、味も落ちてしまうので20秒弱を目安に温めることをおすすめします。
いずれの方法も、食べ残しを長時間おいておくことは避けましょう。
水分量の多い食べ物は、特に夏場は傷みやすいため、管理には気を配りましょう。
老犬のドッグフードをふやかすときによくある質問

ここでは、老犬のドッグフードをふやかすときに多い疑問にお答えしていきます。
Q1.水でふやかしてもいい?
A.冷たくない水であれば、水でふやかしても問題はありません。
ただし、お湯に比べてドッグフードが柔らかくなるまでに時間がかかるため、すぐに与えたい場合には不向きです。
また、冷たい水を使うと老犬のお腹を冷やし、下痢を起こしやすくなるため冷たい水を使用することは控えましょう。
Q2.なぜ熱湯でふやかすのがダメなの?
A.熱湯でふやかすと、ドッグフードに含まれる一部の栄養素が壊れてしまう恐れがあるためです。
特に、ビタミン類など熱に弱い成分は、熱湯をかけることで失われてしまう可能性があります。
栄養バランスが崩れると老犬の健康にも悪影響を与えてしまう可能性があるため、熱湯の使用は避けましょう。
また、「ドッグフードは高温で製造されているから熱湯でも問題ない」といったという情報を見かけることもありますが、これは誤りです。
実際には、ドッグフードは高温で加熱した後に、熱に弱い栄養素を再添加して栄養バランスを整えています。
中には、栄養素を壊さないように最初から低温加熱で製造されているものもありますよ。
Q3.ふやかしたときに余った水分は捨てていい?
A.ドッグフードをふやかしたときに器に水分が残ることもありますが、捨てずにそのまま与えましょう。
ドッグフードにはさまざまな栄養素が含まれていますが、ふやかす過程で栄養素の一部が水分中に溶け出しています。
その水を捨てるというのは、せっかくの栄養も一緒に捨ててしまうということです。
老犬にとって、水分も栄養も貴重なものなので、捨てずに与えるようにしましょう。
もしたくさん水分が残ってしまう場合は、水の量が多すぎたり、ふやかす時間が短すぎるのかもしれません。
Q4.ふやかしたドッグフードは保存することができる?
A.ふやかしたドッグフードは水分を含んでいるため傷みやすく、雑菌も繁殖しやすいので保存することは避けましょう。
ドッグフードは、そのときに食べる分だけをふやかすのが原則です。
万が一食べ残した場合も、出しっぱなしにしたり後で与えようと保存するのではなく、もったいないですが必ず処分してください。
傷んだフードを口にすると、食中毒を起こすリスクがあります。
特に夏場など気温が高い時期は、より早く傷む可能性があるため注意が必要です。
老犬のドッグフードはウェットフードも活用しよう

ドッグフードをふやかす以外にも、総合栄養食のウェットフードを活用することも考えてみましょう。
ウェットフードは水分量が多く柔らかいため、噛む力や飲み込む力が衰えた老犬でも無理なく食べることができます。
また、香りが立ちやすいので、嗅覚が鈍くなりがちな老犬の食欲を刺激しやすいというメリットもあります。
ウェットフードは嗜好性が高く、食欲が落ちた老犬やふやかしたドッグフードも食べない老犬にもおすすめです。
ただ、私の高齢の愛犬(享年18歳)はウェットフードがよかったり、カリカリのままのドライフードがよかったり、ふやかした方がよかったりと、その日・その時の気分で食べたいものが変わっていました。
犬も年を重ねるごとに自分なりのこだわりが強くなっていくため、ドライフードやウェットフードを上手に使い分けると良いでしょう。
まとめ
ドッグフードをふやかすことは、食べやすさだけでなく、老犬の負担を軽減することにも役立ちます。
正しいドッグフードのふやかし方を覚えて、愛犬に美味しく食べてもらいましょう。
最後に、基本のふやかし方のポイントのおさらいです。
| ・ふやかすときは30~40℃のぬるま湯を使用する
・ドッグフードが隠れる程度のぬるま湯を入れる |
愛犬の体調や食べやすさを最優先に考え、負担の少ない食事を心がけてあげてくださいね。
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執筆者:高田(動物介護士)
