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老犬が喜ぶことは?老犬との過ごし方を動物介護士が解説!

目次

老犬になると、それまで興味を示していたことに関心がなくなったり、表情の変化が少なくなって喜怒哀楽が分かりにくくなるケースがあります。

そんな老犬になった愛犬に、少しでも喜ぶことをしてあげたいと思う飼い主さんは多いでしょう。

そこで今回は、高齢の愛犬たちと暮らしていた動物介護士の私が、老犬に喜んでもらうためにできることや老犬との過ごし方で大切なことを解説します。

 【執筆者保有資格】

動物介護士、ペットフーディスト、犬の管理栄養士 他


老犬が喜ぶ5つのこと

老犬になると、身体のさまざまな機能が衰えていきます。
感情をつかさどる主要な脳の部位である「前頭葉」もそのひとつ。

脳の老化は前頭葉から始まるとされており、老犬の反応が薄くなってしまうことはある意味仕方がないことでもあります。

しかし、老犬が喜ぶことは適度な脳の活性化となり、認知機能の維持や向上、心身の健康にも良い影響をもたらしてくれます。

ここでは、今から簡単に取り入れられる「老犬が喜ぶ5つのこと」をご紹介します。

① たくさん声をかけてあげる

老犬は耳が遠くなったり、認知症を発症したりで、話しかけても反応してもらえないこともあるでしょう。

それでも、たくさん声をかけてあげることはとても大切なことです。
感謝の気持ちを伝えたり、大好きな気持ちを伝えるのはもちろん、「おはよう」「おやすみ」などの挨拶もしてあげましょう。

また、老犬になると犬自身も身体の変化に戸惑い、不安を感じやすくなります。

声をかけてあげることで不安が和らぎ、安心することができるため、たくさん声をかけてあげましょう。

② たくさん撫でてあげる

スキンシップは、神経伝達物質のひとつである「オキシトシン」の分泌を促進してくれるため、たくさん撫でてあげましょう。

オキシトシンは「幸せホルモン」「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれており、情緒の安定やストレス軽減、リラックス効果があることがわかっています。

さらに、オキシトシンはもうひとつの幸せホルモン「セロトニン」の分泌を促進してくれるため、幸せな気持ちをより高めてくれます。

また、飼い主さんに触れてもらえることは老犬の安心にも繋がるほか、飼い主さんが愛犬の身体の変化や異常を確認・発見することにもつながります。

③ 適度に外に連れ出してあげる

散歩を嫌がるようになる老犬も多いですが、無理のない範囲で適度に外に連れ出してあげましょう。

いつもと違った景色や匂い、音、風、太陽の光などは老犬に良い刺激を与えてくれ、脳の活性化になります。

必ずしも自力で歩いてもらう必要はなく、歩くことが難しい場合はカートやバギー、抱っこなどでも問題ありません。

老犬の散歩については、以下の記事をチェックしてみてくださいね⇩

 動物介護士が解説|老犬が散歩を嫌がるときはどうする?回数や時間の目安も


④ 一緒にいる時間を増やしてあげる

多くの老犬は、飼い主さんと一緒に過ごせることに喜びを感じます。
大切なポイントは同じ空間にいることで、ずっとかまうということではありません。

お仕事など飼い主さんのご都合もありなかなか難しいことですが、寄り道せずに早く帰るなどして、なるべく一緒にいる時間を増やしてあげましょう。

⑤ いつも笑顔でいてあげる

老犬にとって、飼い主さんの笑顔が見られることは一番の喜びです。
穏やかな気持ちで、笑顔で接してあげましょう。

 

老犬との過ごし方で大切な4つのこと

老犬が喜ぶことを考えてあげることだけでなく、老犬との過ごし方も大切です。

ここでは、老犬との生活で気をつけてあげたい過ごし方のポイントをご紹介します。

些細な変化を見逃さない

老犬になると、免疫力の低下から病気になりやすくなったり、体調を崩しやすくなります。

若い頃は様子を見ていても問題がなかったことが、老犬では命にかかわる状態につながることもあります。

そのため、些細な変化を見逃さず、異変を感じたときはためらわずに動物病院を受診するようにしましょう。

老犬のこだわりに付き合う

老化による脳機能の低下によって、老犬はどんどん頑固になっていきます。
食事や寝る場所、散歩などにこだわりを持つことも珍しいことではありません。

食事にこだわりが強い場合はお腹が空いていても食べない、寝る場所にこだわりが強い場合は眠くても寝ないなど、健康にも大きく影響してくる問題です。

愛犬にどんなこだわりがあるのかを理解して、可能な限り付き合ってあげましょう。

食事に配慮する

老犬は、消化吸収能力の低下はもちろん、噛む力や飲み込む力も低下します。

老犬用ドッグフードやウェットフードなど老犬に適した食事にしてあげるだけでなく、食事の回数を増やすなど、美味しくしっかりご飯を食べてもらえるようにしましょう。

老犬の食事については、以下の記事もチェックしてみてくださいね⇩

 専門家が解説|老犬の食事回数や食事内容は?食事量や注意点も
 専門家が解説|老犬のドッグフードの選び方は?押さえておきたいポイント6つ
 動物介護士が解説|老犬が食べないときに試してほしい8つのこと

 

常に穏やかな気持ちで接する

老犬になると、今までできていたことができなくなったり、トイレの失敗などの粗相をしてしまうこともあります。
また、長期間の夜鳴きにイライラしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、老犬になれば仕方がないことで、変化を受け入れてサポートしてあげることが大切です。

また、老犬に限りませんが、犬は飼い主さんの感情を敏感に察知する能力があります。老犬の前ではできる限り笑顔で、穏やかな気持ちでいてあげてくださいね。

老犬の幸せについては以下の記事もご覧ください⇩

 老犬の幸せとは?老犬の飼い主さんに知っておいてほしい『老犬の十戒』をご紹介

 

老犬が快適に過ごすためにしてあげたいこと

老犬と暮らしていると、何に喜ぶのか、どうしたら快適に過ごしてもらえるかを考えるでしょう。

ここでは、老犬が快適に過ごすために飼い主さんができることをご紹介します。

快適な室温・湿度にしてあげる

暑さや寒さなどは老犬の身体の負担となるため、室温や湿度に配慮してあげましょう。

 ■ 犬が快適な室温・湿度の目安

室温…25℃前後
湿度…50%程度

老犬は体温調整がうまくできなくなります。
老犬が過ごす高さの位置に湿温度計を設置して、室温や湿度をチェックするようにするといいでしょう。


もちろん、暑がりや寒がりなど、快適な室温は老犬によって異なります。

愛犬に最適な室温を見つけてあげるのはもちろん、服や毛布、クールマットなども用意してあげると良いでしょう。
※ホットカーペットや湯たんぽを使用する際は、低温やけどにご注意ください

ケガをしない環境を整えてあげる

老犬は足腰が弱くなったり、視力の低下などで物にぶつかりやすくなったりします。

また、認知機能が低下していくと狭いところに入りたがるといった行動もみられるようになります。

そのため、ケガをしない環境を整えてあげることが大切です。

 ■ 老犬がケガをしないためにできること

フローリングなど滑りやすい床にはコルクマットやタイルカーペットなどを敷く
家具や壁などの角に保護カバーをつける
段差にはスロープなどを設置する
トイレや水飲み場は寝床のそばにも用意してあげる
入ると危ない隙間は入れないようにする など

もともと滑りやすい床は年齢に関わらず犬の足腰に負担をかけますが、老犬ではより負担となってしまいます。

滑って転んでしまうなどのトラブルも起こりやすいため、滑りにくい床にしてあげましょう。

老犬に必要な栄養を補ってサポートしてあげる

老犬になると体内で生成できる成分の生成量が減ってしまうため、ドッグフードだけでは補いきれない成分や、新たに補ってあげたい成分がたくさん出てきます。

老犬に必要な栄養を補ってあげることは、健やかな毎日を支えることに役立ちます。

 ■ 老犬が摂取したい成分
脳ケア成分
…DHA、ポリフェノール(アントシアニン、グネチンC)、神経栄養因子様化合物(バングレン)、カロテノイド(アスタキサンチン、ルテイン、β‐カロテン)など

抗酸化成分
…ポリフェノール(アントシアニン、グネチンCなど)

腸内ケア成分
…乳酸菌、フェカリス菌、ビフィズス菌など

関節ケア成分

…グルコサミン、コンドロイチン、MSM(メチルサルフォニルメタン)、緑イ貝など

ビタミン類

…ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE など

老犬はグルコサミンやコンドロイチンの生成量の減少、腸内細菌の減少、活性酸素に対する防御機能の低下などが起こりやすく、どれも積極的に摂取したい成分です。

これらの成分を食材から補うことは大変なので、サプリメントで効率的に摂取させてあげましょう。

ただ、さまざまなサプリメントが販売されており、どれを選んでいいか悩む飼い主さんは多いです。
選ぶ目安としては、動物病院で取り扱われているようなエビデンスがあるサプリメントをおすすめします。

老犬に起こる変化を知っておこう

犬はシニア期に入ると、見た目に大きな変化はみられなくても、少しずつ全身の機能が衰えていきます。

老化のスピードは犬によって異なりますが、老いはすべての犬に訪れ、避けられるものではありません。

老化によって以下のような変化が起こるため、愛犬の状態をよく観察することが大切です。

  • 視力や聴力、嗅覚などの低下
  • 内臓機能の低下
  • 免疫機能の低下
  • 体力の低下
  • 筋力の低下
  • 抗酸化防御機能の低下
  • 認知機能の低下
  • 嚥下能力の低下
  • 消化吸収能力の低下
  • 体内生成量の減少(ビタミン、関節液、グルコサミンなどさまざまなもの)
  • 腸内細菌の減少 など

白髪が出るなど見た目の変化はわかりやすいですが、身体の内側の変化は気づきにくいものです。

老化は進行し続けるもので止めることはできませんが、老犬の状態に合わせてケアをしてあげることで快適に過ごしてもらいやすいでしょう。

犬の老化については、以下の記事も参考にしてみてくださいね⇩

 動物介護士解説|犬の老化のサインを見逃さないで!7歳をすぎたら要注意

 

まとめ


老犬が喜ぶことをしても、もっとほかに喜んでもらえることがあるのではないかと考えてしまうこともあるかもしれません。

実際、私も高齢になった愛犬の喜ぶことは何か、何をしたら幸せを感じてもらえるかといつも考えていました。

犬は言葉を話すことができないので、余計にそう思うのかもしれませんね。

ただ、大好きな飼い主さんの笑顔や声、温もりを感じることは老犬の喜びであり、安心にもつながります。

愛犬に寄り添い、幸せな毎日が過ごせるようにサポートしてあげてくださいね。

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執筆者:高田(動物介護士)