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動物介護士が解説|トイプードルの夜鳴きに薬はあり?薬のリスクと他の選択肢

目次

トイプードルはその性格や習性、長寿傾向があることなどから、夜鳴きをしやすい犬種とされています。

そうは言っても夜中に鳴き続けられると、飼い主さん自身の寝不足や近所迷惑など、心配事はつきませんね。

薬を使ってでも夜鳴きをやめさせたいと思う飼い主さんもいるのではないでしょうか。

しかし、薬にはリスクもあり、慎重に考えてあげなければいけません。

そこで今回は、実際に夜鳴きをしていた愛犬たちと暮らしていた動物介護士の私が、トイプードルの夜鳴きに薬を使用するリスクや薬以外の対処法について解説します。

 【執筆者保有資格】

動物介護士、ペットフーディスト、犬の管理栄養士 他

トイプードルが夜鳴きをするのはなぜ?考えられる理由5つ

トイプードルはとても賢い犬種なので、夜鳴きには何らかの理由があります。

薬の使用を兼用する前に、まず「なぜ夜鳴きをするのか」を考えてあげることが大切です。

 ■ トイプードルの夜鳴きで考えられる理由5つ

① 分離不安やさみしさから
② 運動不足から
③ 不安やストレスから
④ 痛みや体の不調から
⑤ 認知症から

ここでは、もう少し詳しく解説していくので、愛犬の夜鳴きの理由を考えてみましょう。

① 分離不安やさみしさから

トイプードルは、分離不安や寂しさを感じやすく、それが夜鳴きとなることがあります。

C-BARQのデータによれば、AKC(アメリカンケネルクラブ)に登録されている30犬種の中で「愛着行動」のスコアがトップという結果になりました。

もともと愛情深く人と結びつくことが強い犬種であることから、飼い主さんと離れることに強い不安を感じやすく、夜にひとりになることで夜鳴きをすることがあります。

特に子犬期に多くみられますが、成犬や老犬でも日中も飼い主さんにべったりなトイプードルでは夜鳴きが起こりやすいでしょう。

② 運動不足から

トイプードルは活発な犬種なので、運動不足が原因で夜鳴きをすることもあります。

日中にあまり動かず、散歩もあまりできていない場合では、夜に元気があり余って夜鳴きに繋がるケースがあるため注意がj必要です。

また、トイプードルは散歩の時間よりも質が大切なので、散歩中に狩猟本能を満たしてあげる遊びを取り入れたり、コミュニケーションを取るなど、質の良い散歩にしてあげましょう。

老犬の散歩については、以下の記事もチェックしてみてくださいね⇩

 動物介護士が解説|老犬が散歩を嫌がるときはどうする?回数や時間の目安も

③ 不安やストレスから

トイプードルは繊細な気質の子が多いため、不安やストレスが原因で夜鳴きをすることも考えられます。

引っ越しや家族構成の変化、新しい寝床、飼い主さんの不在、生活リズムの変化、雷や物音などトイプードルは敏感に反応します。
夜鳴きがみられる場合は、なにか環境の変化がなかったか考えてみましょう。

【関連記事】

 老犬になると不安を感じやすくなる!不安なときの行動や和らげる方法

④ 痛みや体の不調から

病気やケガによる痛みや不快感も、夜鳴きの原因になることがあります。

 ■ ほかの犬種と比べてトイプードルがかかりやすい病気

・糖尿病
・骨折(前脚)
・膝蓋骨脱臼
・白内障
・歯周病
・膵炎
・甲状腺機能低下症
・気管支炎
・胃腸炎 など

特にトイプードルは骨が細く、膝蓋骨脱臼(パテラ)や骨折などのトラブルが多い犬種です。

トイプードルに限らず、犬は痛みや不調があっても我慢してしまう生きものですが、我慢できない痛みを吠えたり鼻を鳴らして訴えることも。

夜になったら痛み出すなどの理由で、夜鳴きのように夜間だけ鳴く場合もあるため、急に夜鳴きをするようになったときには動物病院を受診することを強くおすすめします。

⑤ 認知症から

10歳を過ぎたトイプードルでは、認知症で夜鳴きをしていることも考えなくてはいけません。

なぜ認知症になると夜鳴きをするのかはまだ解明されていませんが、脳の興奮や不安感が強くなることが関係しているのではないかと考えられています。

ただ、認知症かどうかを飼い主さんが判断することはできません。

ほかの病気の可能性もあるため、まずは獣医師にご相談ください。

ご参考までに、犬の認知症について以下の記事で詳しく解説しています⇩

 動物介護士が解説|犬の認知症の症状は?予防や対策方法
 動物介護士が解説|犬の認知症を治すことはできる?治療法やできるサポート

トイプードルの夜鳴きに薬を使ってもいい?獣医師の指導のもとが原則

結論から言ってしまうと、トイプードルの夜鳴きに薬を使用していいのは「獣医師の指導のもと」だけです。

ただし、安易に薬に頼ることはおすすめできません。

夜鳴きはさまざまな原因があり、根本的な原因を突き止めることが大切です。

たとえば、痛みなどが原因による夜鳴きでは、痛み止めを処方してもらうことで夜鳴きが落ち着くこともあるでしょう。

また、運動不足が原因の場合は、薬を使用せずとも運動不足を解消してあげることで夜鳴きをなくすことができます。

しかし、分離不安症や認知症などの場合は、薬の使用を慎重に考えなければいけません。

特に高齢のトイプードルでは、内臓機能の低下はもちろん持病を抱えていることも多く、薬の影響を受けやすいということも考慮する必要があります。

トイプードルの夜鳴きに処方される薬とは?状態に合わせてさまざま

分離不安症のトイプードルでは、程度によって精神安定剤や抗不安薬が処方されることが一般的です。

しかし、認知症の場合はそのトイプードルの症状、年齢、持病、飲んでいる薬などを獣医師が総合的に判断し、状態に合わせた薬が処方されます(種類や量、服用回数など)。

 ■ 認知症による夜鳴きに処方される薬の例

・睡眠導入剤
・睡眠薬
・精神安定剤
・抗うつ剤
・抗不安薬
・鎮静剤
・神経遮断薬
・漢方薬(動物病院による)など

夜鳴きを完全に止める薬というものは存在せず、上記は対処療法として「寝てもらう」ための薬です。

実際、私の愛犬は24時間一睡もせずに夜鳴きと激しい徘徊をしていたことから、神経遮断薬の一種である「アセプロマジン」を飲ませるように指示されました。

しかし、これらの薬は慎重に扱う必要があるため、初めて行く動物病院ではなく、愛犬の状態をよく知っているかかりつけの動物病院で処方してもらうことをおすすめします。

トイプードルに薬を使う前に知っておきたいリスクと注意点

夜鳴きの薬には副作用のリスクがありますが、薬のリスクはそれだけではありません。

ここでは、トイプードルに薬を使用する前に知っておきたいリスクと注意点について解説します。

トイプードルの夜鳴きに薬を使用するリスク

まず、知っておかなければいけないのは、薬を飲ませたからといって夜鳴きに必ず「効く」とは限らないことです。

また、最初は効いていても、だんだんと耐性がついて効かなくなることもあります。

ほかにも、心臓や腎臓に負担がかかったり、認知症の進行を早めてしまう可能性があったりとさまざまなリスクがあるため、安易に薬を使用することはおすすめできません。

実際、私の愛犬は心臓病だったことから、最初に夜鳴きや徘徊で相談したときから薬を処方されるまでに数か月かかりました。

それだけリスクがあり、慎重に扱う必要があるのが夜鳴きに使用する薬なのです。

夜鳴きに薬を使用する際の注意点

トイプードルの夜鳴きに薬を使用するときは、必ず獣医師に指示された回数や用量を守ることが大切です。

全然効かないからと、自己判断で回数や量を増やして飲ませてしまうと命にかかわることもあります。

薬を処方されたら…

✅ いつ飲ませるか
✅効かなかった場合は量を増やしていいのか
✅再投与の判断時間はどれくらいなのか

を獣医師に確認しておきましょう。

また、薬を飲ませて少しでも異変を感じたときには飲ませることをやめて、動物病院を受診してください。

そのときも、以下の情報を獣医師に伝えることで、量の調整をすればいいのか薬の変更が必要なのかを判断しやすくなります。

・薬を飲ませた時間
・薬が効き始めた時間
・効果があった時間
・体調の変化の詳細

薬の合う合わないは個体差があるため、トイプードルに飲ませた後や薬の効果がなくなった後の様子もしっかり観察してあげましょう。

薬以外でできるトイプードルの夜鳴き対策とは?

トイプードルの夜鳴きが、薬に頼らないでおさまるなら、それにこしたことはありませんね。

薬を使用したいと思う一方で、できれば飲ませたくないと思っている飼い主さんもいるのではないでしょうか。

実際、私も愛犬に薬を処方されたものの、できる限り飲ませたくないとほかの選択肢を模索しました。

そして、さまざまな対処法を組み合わせることで、薬を飲まなくても穏やかに過ごせるまでになったのです。

もちろん、状態には個体差があるので、薬が必要になることもあると思います。
その場合は一時的に使ったり、薬の量を増やさずに済むように、これからご紹介する対処法と合わせて上手に使ってくださいね。

穏やかな気持ちで接する

夜鳴きが続くと精神的な余裕もなくなりがちですが、どんなときも穏やかな気持ちで愛犬に接することで夜鳴きが和らぐことがあります。

叱ったり、イライラすることは夜鳴きを助長させてしまうことに繋がり、逆効果です。

犬は一緒に過ごす時間が長い人の気持ちに同期化するという研究結果もあり(※3)、特にトイプードルは感受性が豊かなので、飼い主さんの気持ちを敏感に察知します。

もし、認知症による夜鳴きであった場合は、それだけ長生きしてくれているという証拠。

ずっと寄り添ってくれた感謝の気持ちを忘れずに、穏やかな気持ちで接するように心がけましょう。

生活リズムを見直す

一度、愛犬の生活リズムを見直してみましょう。もしかしたら昼夜逆転になっているかもしれません。

日中にしっかり運動や遊びをさせると、夜は疲れて眠れるようになるでしょう。

また、1回15〜30分程度の日光浴をさせてあげることで、体内時計の調整や精神の安定、質の良い睡眠の誘導に役立ちます。

日光浴にはさまざまなメリットがあるので、日光浴を兼ねた散歩を意識してみましょう。

犬の昼夜逆転については、以下の記事もチェックしてみてくださいね⇩

 犬が昼夜逆転するのはなぜ?考えられる原因や治す方法を解説

脳ケアサプリメントを取り入れる

トイプードルの夜鳴きには、脳ケアサプリメントを取り入れることも考えてみましょう。

もちろん、お薬と同じく夜鳴きを完全に止めるサプリメントは存在しません。

しかし、脳に必要な栄養を補ってあげることで健康的な認知機能に導かれ、夜鳴きなどが解消されたり和らぐケースも。

特に、10歳を超えたトイプードルでは認知症のリスクが高まるので、サプリメントで効率よく栄養を補ってあげると良いでしょう。

 ■ 脳ケアにおすすめの成分

・ポリフェノール(アントシアニン、グネチンCなど)
・神経栄養因子様化合物(バングレン
・カロテノイド(アスタキサンチン、ルテイン、β‐カロテンなど)
・DHA
・ビタミンA、C、E など

脳ケアサプリメントはたくさん販売されていますが、動物病院でも取り扱いのある、エビデンスがあるものを選ぶことをおすすめします。

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実際に私の愛犬が飲んでいたのも、動物病院でも販売されているバングレンとグネチンCが含まれたサプリメントで、良いものに出会えてよかったと心から感謝しています。

もちろん体質に合う合わないはありますが、愛犬の体質に合ったサプリメントに出会うことができれば、穏やかな毎日を支えてくれるでしょう。

まとめ

トイプードルの夜鳴きは、さまざまな原因が考えられます。

すぐに夜鳴きをなんとかしたいと思う気持ちはよくわかりますが、薬を使用することはリスクがあるため、まずは「なぜ夜鳴きをしているのか」を考えてみましょう。

そのうえで、薬を使用するのかどうかを獣医師とよく相談して決めることが大切です。

ただし、慎重に扱う必要のある薬なので、必ずしも処方してもらえるとは限りません。

そういう可能性もあることを考え、まずはできる範囲での対処を行いましょう。

また、犬の夜鳴きに悩むときはおひとりで抱えこまず、獣医師や動物看護師、動物介護士などの専門家にご相談ください。

トイプードルの夜鳴きが落ち着き、穏やかな日々となりますように。

 

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執筆者:高田(動物介護士)

<参考文献>
※1参考:ReseachiGate「Domestic Dog Cognition and Behavior: The Scientific Study of Canis familiaris」
※2参考:アニコム侵害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2024」