動物介護士が解説|犬が夜中に落ち着く方法はある?原因と対処法
愛犬が夜になると活発になり、どうにか落ち着いてもらいたいと悩む飼い主さんは多いです。
実際、私の愛犬(享年18歳)も17歳になった頃から、夜になると興奮がひどく落ち着かない様子がみられるようになりました。
担当の獣医師に相談すると、高齢の犬にはよくあることと言われたものです。
しかし、見ているほうは何かの病気なのではないか、疲れてしまうのではないかと心配でたまりませんよね。
そこで今回は、犬が夜に活発になってしまう原因や、夜中に落ち着く対処法について解説します。
犬が夜中に落ち着くことなく活発になる7つの原因
もともと犬は夜行性の動物でしたが、人間と暮らすうえで、人間に生活リズムを合わせるようになりました。
また睡眠時間を多く必要とする動物であることから、昼行性というわけでもなく、活動時間・睡眠時間を飼い主に合わせることのできる動物だと考えられています。
そんな犬が夜中に落ち着くことなく活発になるのは、飼い主さんの生活リズムに合わせている以外に、7つの原因が考えられます。
■ 犬が夜に活発になるときに考えられる原因8つ
・落ち着いて眠れる環境ではない |
犬が夜中に眠れない、落ち着かない、活発になる原因は、犬の年齢に関係なく複数の要因が関わっている可能性が高いです。
どんな要因・原因が関係しているのか、詳しくみていきましょう。
「もしかして…」と思い当たることがあるかもしれません。
落ち着いて眠れる環境ではない
犬の寝床がある場所が騒がしい、人の出入りが多い、部屋の中が暑すぎる・寒すぎるなど、犬が落ち着くことができない睡眠環境である場合、眠れずに夜中に活発になることがあります。
また、ベッドなどで一緒に寝ている場合、飼い主さんの寝言や寝返りなどが多くて眠れないということもあるでしょう。
運動不足
運動量が不十分で体力があり余っている場合、夜に寝つけずに夜中に活発に動き回ることがあります。
小型犬はあまり散歩が必要ないと思われがちですが、毎日の散歩は欠かせません。
また、飼い主さんが仕事などで家を空けている時間が多く、あまり遊んでもらえていない場合では、飼い主さんが帰宅した夜間に遊んでほしくて活発になってしまうこともあります。
食事量が不十分・食事回数が適切ではない
食事量や食事回数が適切でない場合、お腹が空いてしまって眠れず、食べ物を求めて夜中にウロウロと活動することがあります。
ドッグフードのパッケージに記載されている給与量は目安であり、年齢や体型、避妊去勢手術の有無などによって適切な給与量が異なるため、犬に合わせて配慮が必要です。
また食事回数について、成犬では1日2回が基本ですが、子犬や老犬では空腹感を満たしたり血糖値を安定させることなどを目的に、1回の食事量を減らして食事回数を増やすことが推奨されるケースがあります。
(1日の摂取カロリー・量は変えずに、回数のみを増やします)
トイレに行きたい
外でトイレをすることが習慣になっている犬は、外にトイレに行きたくて夜中にウロウロとしているのかもしれません。
また、老犬では室内でも暗くてトイレの場所がわからなかったり、ちゃんと出きっていなくて気持ちが悪いなどの排泄トラブルの可能性もあります。
(老犬になると目や鼻の機能が低下したり、排泄に必要な筋肉が衰えがちになります)
外でしかトイレをしない犬については、以下の記事もチェックしてみてくださいね⇩
動物介護士が解説|老犬が外でしかトイレをしない!外から中へ変えてあげる方法 |
分離不安症(ぶんりふあんしょう)になっている
犬の分離不安症とは、飼い主と離れることで不安やストレスを強く感じ、問題行動を起こしてしまう状態のことです。
夜に別々の部屋で寝ている場合に犬が夜中に寝ないで活動したり、吠えるなどの行動がみられたら、それは分離不安症かもしれません。
老犬になったり認知症のひとつの症状として、強い不安を感じやすくなるためです。
単なる「わがまま」と思わずに、不安を取り除いてあげる方法を検討してみましょう。
体調が悪い
どこかが痛い、強いかゆみがある、息苦しいなど、体調が悪い場合も夜中に寝ないで活動的になることがあります。
また、寝ないで座ったまま動かなかったり、震える、うずくまっているなどの場合も体調不良のサインです。
大きな病気が隠れていることもあるため、急に夜中に寝ない・落ち着かない様子がみられる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
老化による生体リズムの乱れ
個体差がありますが、老化によって生体リズムが乱れて夜中に動き回っている可能性もあります。
■ 犬のシニア期の目安
・小型犬・中型犬…7歳頃~ |
犬のシニア期は飼い主さんが思っている以上に早く訪れ、老化は止まることなくどんどん進んでいきます。
老化のサインや老犬の睡眠については、以下の記事も参考にしてみてくださいね⇩
動物介護士解説|犬の老化のサインを見逃さないで!7歳をすぎたら要注意 |
動物介護士が解説|老犬が夜寝ないけど大丈夫?原因と対処法 |
動物介護士が解説|老犬が寝てばかりいるのは病気?注意点や気をつけてあげたいこと |
認知症になっている
認知症になっている場合も、夜中に落ち着かずに活動するようになります。
犬の認知症は10歳頃(大型犬では8歳頃)から発症しますが、最初は小さな変化が多く、早期発見が難しい病気のひとつです。
症状が悪化してくると、夜鳴きや昼夜逆転、トイレの失敗が増える、目的もなくウロウロと家の中を徘徊するといった症状が一般的です。
また強い不安感から、飼い主さんのそばを離れられないなど、上記にご紹介した分離不安など、認知症はさまざまなかたちで症状が現れます。
飼い主さんが長期間眠れない・外出できないなど、行動が制限されてしまうケースでは、心身ともに疲弊してしまいがちになります。
今は症状がみられなくても、老犬の飼い主さんにはぜひ認知症について知っていただきたいです。
犬の認知症の症状については、以下の記事をご覧ください⇩
動物介護士が解説|犬の認知症の症状は?予防や対策方法 |
夜中に犬が落ち着くためにできること
犬が夜に活動する原因はさまざまで、原因に合わせて対処してあげることが大切です。
ただ、夜に活動する原因がひとつではなく複数関わっていることもあるため、対処法もいくつか組み合わせてあげるといいでしょう。
落ち着いて眠れる環境を整えてあげる
寝床の場所の確認や、ベッドの寝心地、室温や湿度を管理するなど、犬が落ち着くことができる睡眠環境を整えてあげましょう。
■犬が快適に過ごせる室温・湿度の目安
室温…25℃前後 |
また、基本的に犬は暗くて狭い環境を好みます。
周りが囲まれていたり、潜り込めるベッドなどを用意してみてもいいでしょう。
ただし、飼い主さんのそばが落ち着くという犬も多いため、愛犬に合わせてあげてくださいね。
特に分離不安症になっている場合では、飼い主さんと同じ部屋など飼い主さんの近くに寝床を用意してあげましょう。
食事量や食事のタイミングを見直してあげる
食事量については、獣医師に確認すると良いでしょう。
体型や状態などを見て、その犬に適した食事量を教えてくれます。
また、食事回数は子犬や成犬、老犬によって異なりますが、寝る前に少し食事を与えることで夜中にお腹が空いてウロウロするといったことが改善するでしょう。
■ 犬の食事回数の目安
・子犬…1日3~4回 |
なお、ドッグフードの繊維質が3〜5%程度のものは、犬の年齢や状態に関係なく与えやすく、満腹感が持続しやすくておすすめです。
老犬の食事回数や食事内容について詳しくは、以下の記事を参考にしてみてください⇩
専門家が解説|老犬の食事回数や食事内容は?食事量や注意点も |
適度に運動させてあげる
犬の散歩は、基本的に毎日がおすすめです。
■ 成犬の散歩時間の目安
・小型犬…1日1~2回 1回15~30分程度 |
もちろん、犬種や犬の状態によっては運動量を多く必要とする場合もあるため、愛犬がどれだけ運動したらいいかを獣医師に確認してみましょう。
また、ただ歩くだけの散歩は犬の満足度が低くなりがちです。
アイコンタクトや遊びを取り入れるなど、質の高い散歩を行いましょう。
老犬の散歩の頻度や時間については、以下の記事をご覧ください⇩
動物介護士が解説|老犬が散歩を嫌がるときはどうする?回数や時間の目安も |
日光浴をさせる
1日15〜30分程度の日光浴をさせてあげましょう。
日光浴には、メラトニンの原料ともなるセロトニンの分泌を促してくれたり、体内時計のリセットや免疫力のサポートなどさまざまな嬉しい効果があります。
日光浴を兼ねての散歩でもいいですが、老犬では散歩が難しい場合もありますね。
その場合は、カーテンを開けた窓際やベランダ、庭などで日光浴をさせてあげるといいでしょう。
ただし、夏場などは熱中症にならないように時間帯などに配慮が必要です。
老犬はサプリメントを検討してみよう
老犬は、体内のさまざまな機能が低下しがちになります。
また、体内の活性酸素の防御機能が上手く働かずに活性酸素が増えすぎてしまいます。
活性酸素は老化の進行を早めるだけでなく、脳細胞にダメージを与えたり、認知症やガンなどさまざまな病気を引き起こす原因にもなるものです。
そのため、活性酸素から体を守り、脳に必要な栄養を効率よく補ってあげられる脳ケアサプリメントを積極的に与えてあげましょう。
サプリメントによって栄養素を効率的に取り入れることで、夜中に眠れない・落ち着かない・夜鳴きをするなどの困った行動やお悩みが緩和されたり、解消につながるケースがあります。
■ 老犬の脳ケアにおすすめの栄養成分
・ポリフェノール(アントシアニン、グネチンCなど) |
実際に、私は高齢の愛犬にグネチンCとバングレンの両方が配合されたサプリメントを与えていましたが、夜中に興奮することなく落ち着く状態が維持できており、しっかり脳に栄養が補えていると実感できました。
脳ケアサプリメントは種類が豊富で選ぶのに悩んでしまいますが、動物病院でも取扱いがあるエビデンスのある、信頼できる製品を選ぶことをおすすめします。
犬が夜中に落ち着く空間づくりも重要!
前章でご紹介した対処法のほかに、犬が夜中に落ち着く空間づくりも重要です。
簡単にできることなので、ぜひ実践してみてくださいね。
犬が寝るときは電気を消す
愛犬が寝るときは電気を消してあげましょう。
人間でも、明るいところで眠ることは自律神経の乱れを招いたり、睡眠の質が低下することが分かっています。
光が少し差し込む程度であれば問題はありませんが、豆電球などでも睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌を抑制したり体内時計の乱れを招くため、暗くしてあげたほうが良いでしょう。
また、暗いほうがメラトニンの分泌が促されてリラックス効果をもたらしてくれるため、犬も落ち着くでしょう。
小さな音で音楽を聴かせてあげる
音楽を聴くことで犬の心が落ち着くという研究報告があります。
もちろん、好きな音楽のジャンルは犬によって異なりますが、研究ではクラッシックやバラードなどの音楽が好まれる傾向にあるようです。
近年は、犬用のリラックス音楽などもあるため、小さな音で寝つくまで聞かせてあげてもいいでしょう。
もちろん、飼い主さん自身が子守唄を歌ってあげてもOKです。
実際私は、認知症を発症して夜に興奮する愛犬に、毎晩子守唄を歌いながら優しく体をポンポンとしていました。
そうすることで愛犬は落ち着くことができ、朝までぐっすり寝てくれていましたよ。
まとめ
夜中に活動する犬が落ち着くためにできることはたくさんあります。
もちろん、まずは動物病院を受診して、病気やケガなどがないか確認することが大切ですが、夜中に活動する原因が病気やケガ以外であった場合、原因に合わせて対処してあげることで落ち着きを取り戻してくれるでしょう。
また、飼い主さんがなるべくイライラせずに落ち着いて対応することで、それが犬にも伝わっていきます。
犬の夜中の活動は、見ていなければ誤飲やケガなどのリスクもあり、飼い主さん自身も大変なことです。
犬が落ち着くためにできること、まだ症状がみられていれていない場合でも予防的な対処をぜひお試しくださいね。
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執筆者:高田(動物介護士)